建設業許可 個人事業主 法人化

この記事の結論と要約
個人事業主でも法人でも建設業許可は取得出来ます。しかし、個人より法人の方が有利な点があります。特に事業を承継させたい場合は手続き上有利な点があります。記事のまとめには法人化を考えている方向けの記事のリンクも貼っていますのでご確認ください。

※令和2年の建設業法改正により個人事業主でも事業承継は比較的容易になりました。また法人化すると社会保険の加入が許可の要件として義務付けられますので、法人化する際はその点もご承知ください。

個人事業主でも法人でも建設業の許可を受けることは出来ます。

現在、個人事業主の許可を持っているが法人化すると許可の空白期間が生じるからできないと悩まれていた方もいるかもしれません。

また家族経営の個人事業主で建設業許可を取得していたけど、引退に伴い子供に事業を承継させるその手段として法人化を考えている方もいらっしゃるでしょう。

現在は法改正により無許可期間を生じずに個人から法人に許可を移すことは可能です。また事業承継(世代交代)も幾分やりやすくなりました。

となると、法人化をするメリットデメリットはどんなことがあるでしょうか。

この記事を読むことで個人事業主が法人化する代表的な理由を知ることができます

法人化する代表的な理由

建設業許可を取得している個人事業主が法人化する代表的な理由は次の通りです。

 

①世代交代が簡単

②対外的な信用度が上がる

③社会保険への加入

 

それぞれ確認しましょう。

世代交代が簡単

事業を営むにあたり将来的には息子に後継をさせたい考えている方も多くいます。

その場合、個人事業主で許可を受けていると息子に許可を引き継ぐことは出来ましたが、証明が難しい時代がありました。なぜなら個人事業主本人に建設業許可が与えられていたからです。

特に許可要件の一つの経営業務の管理責任者の要件を満たすことが個人事業主は大変です。

確定申告書の専従者欄に名前があることや、支配人等を置いていることが求められていました。

現在は経営業務の管理責任者を補佐した経験が6年あれば配偶者や子供にも引き継げるようになっています。この証明書類も簡素なものになり活用する事業者は増えているようです。

とはいえ、まだ法人化する方が許可を引き継ぐ上では簡単なのが現状です。

つまり個人事業主で建設事業を世代交代して続けていく場合、許可の引継ぎに関する事務手続が煩雑になるので法人化する。こういったことが法人化する理由の一つでとしてあげられます。

〜関連リンク〜

家族経営の建設業許可。個人事業主の許可を引継ぐための方法

経管になれる者が自社にいない、いなくなる場合にすべきこと

信用度が上がる

個人事業主は法人と比べると取引相手としての信用度が低いといわれています。

取引先に個人事業主は含めないという会社もあるようです。大きな会社ほどその傾向があるように感じます。

確かに個人事業主が病気や事故にあった場合には、一気に仕事がストップしていしまいそうです。実際には、人を雇うなり横との繋がりで万が一のトラブルに対応出来るような体制だとしてもそうは思ってくれないことが一般的ではないでしょうか。

融資に関しても信用度が違います。

法人であれば代表取締役が保証人になることで融資が下りる場合があります。しかし個人事業主だと他の誰かを保証人として立てないくてはいけないことも。

イメージも含まれますが法人の方が信用度が高い言えます。

社会保険への加入

建設業界は週休2制と社会保険の加入の気運が高まっています。

個人事業主は常時5人以上雇う者でなければ社会保険に加入出来ません。ただし法人は労働者の数に関係なく加入義務が生じます。

適切な社会保険に加入していないと現場に入れさせない取り組みもあります。

流石に加入義務がない個人事業主にはありませんが、法人に雇われている従業員は基本的には対象です。

なぜこういった気運が高まっているのか。理由としては建設業界へ若者の従事者数を増やすためです。

労働者の高齢化が進み、建設産業にとって若者労働者を増やすことは大きな課題になっています。よって事故が起きたら保険が効くようにしよう、週休2日は確保しようということです。

〜関連リンク〜

建設業許可の要件化!社会保険の加入は必須|建設業法改正

雇用保険の対象者は誰?未加入は建設業許可は取れない?

社会保険に未加入だと建設業許可は取れない?加入指導の流れ

まとめ

以上が建設業許可を取得する個人事業主が法人化する代表的な理由です。

世代交代を簡単にすることや、発注者から求められて法人化することが多いように感じます。

事業を大きくして発展させていくご意向であれば、法人の方が適していることは間違いありません。

税金面でも自身への報酬を経費扱いに出来ますので、売上額によっては法人化する方が望ましいこともあります。ここら辺は私は専門外なので税理士の先生とご相談ください。

法人化にご関心あれば次のリンクもお読みください。

・『建設業許可の取得と同時に法人を設立する際の注意点

・『法人成り|建設業許可を取得している個人が法人化する際の注意点