解体工事 許可

この記事の結論と要約
平成28年6月に解体工事業が新たな業種として新設されました。令和3年3月までは専任技術者に関して経過措置がとられています。いま現在、解体工事業の許可を取得している事業者は専任技術者の区分を変更する必要があるかもしれません。必要な手続きをとらないと解体工事業の許可が失効しますのでご注意ください。

平成28年に建設業法が改正されて解体工事業が追加されました。

それに伴い500万円以上の解体工事をする事業所は解体工事業の許可を取得しなくてはならなくなりました。

この改正によりとび・土工・コンクリート工事業の許可では解体工事が出来なくなりました。

また令和3年3月になると今現在解体工事業の許可を取得している事業所の許可が手続きを怠ると取り消されてしまう恐れがあります。

許可を失効させないためにも注意点を確認しましょう。

この記事を読むことで解体工事の経過措置と令和3年3月以降も解体工事の許可を継続するめにすべきことは何か知ることが出来ます

経過措置の概要

もう過ぎたこともありますが、まずは簡単に経過措置の流れを確認しましょう。

経過措置は2回に分けられます。

まず平成28年6月1日に解体工事業が新たな業種として区分されたことは上で触れた通りです。

それまで解体工事はとび・土工・コンクリート工事業に含まれていました。つまり解体工事をするのであればとび・土工・コンクリート工事業の許可を取得する取り扱いだったということです。

その取扱をやめて、とびと解体工事業は別の知識経験が必要だよね、ということで法改正により解体工事業が新設されました。

ただ今までとび・土工・コンクリート工事業で解体工事を施工していた事業所からすると、いきなり解体工事業専門の専任技術者を用意しろって言われても対応が難しいですよね。

よって、とび・土工・コンクリート工事業から解体工事業に段階的に移行していく措置が取られるようになりました。

これを経過措置と呼んでいます。

1回目の経過措置が平成28年6月時点でとび土工コンクリート工事業の許可を受けている事業所は令和元年6月までは、解体工事業の許可がなくても500万円以上の解体工事が請負うことが出来るというものでした。

これはつまり、とび・土工・コンクリート工事業で解体工事を施工している事業者は令和元年6月までに解体工事の許可を取得してくださいね、という意味です。

次に2回目の経過措置です。

これが解体工事業の許可を継続したければ令和3年3月までに解体工事業の専任技術者を登録してください。というものです。

上述しましたが、とび・土工・コンクリート工事業から解体工事業が新たに区分されました。

区分されるまでは専任技術者要件は元々同じです。

しかし新たに区分されたこともあり、専任技術者の資格者要件はそれぞれで別に設計されました。

つまり解体工事業の専任技術者になれるプロフェッショナルと、とび・土工・コンクリート工事業の専任技術者は別物なので、経過措置期間内に解体工事業のプロフェッショナルに専任技術者を変更する必要があるということです。

令和3年3月まではとび土工の専任技術者でも解体工事業の専任技術者として認めますが、4月以降は解体工事業にのみ認められた専任技術者を登録しないと許可要件は満たせませんよ。ということです。

言い換えれば令和3年4月以降に解体工事の専任技術者がいなければ、解体工事の許可は継続出来ずに失効する。という取扱となります。

アイコン-チェック・平成28年6月1日から新しく解体工事業が新設された
・令和元年6月までは、とび土工の許可があれば500万円以上の解体工事を請け負える
・令和3年3月31日までは、とび土工の専任技術者でも解体工事業の専任技術者になれる
・令和3年3月31日以降は、要件に合致した解体工事業の専任技術者がいないと解体工事の許可は継続出来ない

 

経過措置後の解体工事業の専任技術者

令和3年3月以降も解体工事業の許可を継続する場合、次の3点ご確認ください。

 

①現在(令和3年3月まで)の解体工事業の専任技術者の区分

②令和3年3月以後も解体工事業の専任技術者になれる資格

③資格の場合、実務経験か講習を受ければ4月以降も要件を満たせる資格かどうか

 

一つずつ確認しましょう。

現在の解体工事技術者の要件

解体工事の専任技術者は以下のように分けられます。

■令和3年3月までの解体工事の専任技術者区分■

資格・検定試験◆

・1級建築機械施工管理技士

・2級建築機械施工管理技士

・1級土木施工管理技士 (附則2条 4条)

・2級土木施工管理技士 (土木 薬液 附則2条 4条)

・1級建築施工管理技士 (附則2条 4条)

・2級建築施工管理技士 (建築、躯体)

・1級土木施工管理技士 (附則2条 4条)

・解体工事施工技士

・地すべり防止工事士

・ウェルポイント施工

・型枠施工

・職業能力開発促進法 とび・とび工

・コンクリート圧送施工

◆以下の実務経験がある者◆

・所定学科を卒業後(※ 土木工学又は建築学)
→大卒は3年以上
→高卒は5年以上の解体工事の実務経験

・解体工事の実務経験が10年以上

・土木工事および解体工事に関して12年以上の経験があり、そのうち解体工事の経験が8年を超えている者

・建築工事および解体工事に関して12年以上の経験があり、そのうち解体工事の経験が8年を超えている者

・とび・土工工事および解体工事に関して12年以上の経験があり、そのうち解体工事の経験が8年を超えている者

いかがでしょうか。

自社の解体工事業の専任技術者がどの資格で取得したかがとても重要です。

なぜなら令和3年4月からこの取扱が変わるからです。

令和3年4月以降の専任技術者要件の取扱い

解体工事の専任技術者要件は令和3年4月以降、次のように分類されます。

令和3年4月以降の専任技術者要件の取扱い


①このまま何もしなくても解体工事業の許可が継続出来る資格区分

②講習の受講や実務経験を証明すれば解体工事業の専任技術者要件を満たす

③解体工事業の専任技術者として一切認めない

一つずつ確認しましょう。

①このまま何もしなくても解体工事業の許可が継続出来る資格区分

現在の専任技術者の資格区分で登録していても許可が継続される資格は次の通りです。

・解体工事施工技士

・解体工事業の実務経験年数が10年以上の者

・指定学科+解体工事業の実務経験年数が3年or5年以上の者

・土木工事および解体工事に関して12年以上の経験があり、そのうち解体工事の経験が8年を超えている者

・建築工事および解体工事に関して12年以上の経験があり、そのうち解体工事の経験が8年を超えている者

・とび・土工・コンクリート工事および解体工事に関して12年以上の経験があり、そのうち解体工事の経験が8年を超えている者

この枠内の区分で専任技術者として登録されていれば問題ありません。

②講習の受講 or 1年以上の解体工事の実務経験を証明すれば解体工事業の専任技術者要件を満たす区分

このまま何の変更手続きをしないままでいると令和3年4月以降は解体工事業の専任技術者として認められない資格は次の通りです。

・1級土木施工管理技士 

・2級土木施工管理技士 (土木)

・1級建築施工管理技士 

・2級建築施工管理技士 (建築、躯体)

ただし上記枠内の資格でも、ある手続きをすれば令和3年4月以降も解体工事業の専任技術者として認められます。

それが次のいずれか2つの条件を満たすことです。

令和3年4月以降も解体工事業の専任技術者になるためには


・解体工事業の実務経験1年以上を証明する

・登録解体工事講習を受講したことを証明する

実務経験1年以上の証明とは解体工事に関する請求書や請負契約書を提出することで証明します。

登録解体工事講習は、実施団体に連絡して講習を受講しましょう。

東京都の実施団体をご確認ください。

登録解体工事講習 実施団体

公益社団法人全国解体工事業団体連合会 (03-3555-2196)

一般財団法人全国建設研修センター   (042-300-1743)

③解体工事業の専任技術者として一切認めない

令和3年4月以降は解体工事業の専任技術者として認められない資格は次の通りです。

・1級建築機械施工管理技士

・2級建築機械施工管理技士

・2級土木施工管理技士 (薬液)

・解体工事施工技士

・地すべり防止工事士

・ウェルポイント施工

・型枠施工

・コンクリート圧送施工

もし上記の専任技術者で解体工事業の専任技術者として登録している場合は、他の方に変更するか実務経験を使い区分変更しましょう。

区分変更出来ないと許可要件を満たせなくなり、解体工事業の許可は失効します

ご注意ください。

必要手続き

令和3年4月以降も解体工事業の許可を継続するためには専任技術者の変更届出が必要です。

経過措置後の解体工事業の専任技術者として認められない資格者であれば、他の技術者への変更届出を作成します。

専任技術者が同一人物の場合は、登録区分の変更手続が必要です。講習の受講証明書か必要実務経験年数を満たす解体工事業の契約書等が添付書類になります。

いずれにせよ共通することは必ず令和3年3月31日までに変更のお手続きをされてください

解体工事の考え方

ここで一度、建設業法上の解体工事業の概念を今一度、確認してみましょう。

なぜ確認するのか。それは御社が本当に解体工事業の許可を継続する必要性があるかどうか判断するためです。

解体工事とは

解体工事とは工作物の解体を行う工事です。

しかし全ての工作物を解体する場合に必要な許可という概念ではありません。

それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当します。

以下、例えです。

 

・信号機を解体する工事は電気工事業の許可が必要。解体工事業は必要ない。

・リフォーム部分を解体するのであれば内装工事業の許可が必要。解体工事業の許可は必要ない。

 

他の専門工事で作る工作物は解体する時も専門工事の知識が必要ということですね。

では解体工事の許可が必要な事業所はどんな業務を主にされているのでしょうか。

それはは主たる業務が一軒家や店舗を解体して更地にするような工事を請負っている事業所です。

こういった解体工事を500万円以上で請ける場合に、解体工事業の許可が必要になります。

アイコン-チェック・経過措置後の解体工事業の専任技術者に変更するには手続きが必要
・講習を受講するか実務経験1年以上の証明が必要な資格は要注意
・適切な専任技術者にしないと許可は失効する
・解体工事は工作物を解体する工事だが全ての解体という概念を指していない

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

令和3年3月までに適切な専任技術者に変更しないと許可が失効する可能性があることご理解いただけましたでしょうか。

この令和3年3月までに手続きをしないと、再び解体の許可を得るためには業種追加申請の手続きが必要になります。つまり手間と手数料がかかります。ご注意ください。

また重要な概念として、他の業種で作った工作物を解体する時はその専門工事の許可が必要ということを挙げました。

解体工事業が必要だと判断する基準は事業所によりそれぞれあると思いますが、建設業法上考えると失効しても問題ない許可事業所もいらっしゃると思います。

いずれにせよ、ご理解いただいた上で令和3年3月までに適切な専任技術者への変更届出をご作成ください。

お疲れさまでした。