特定建設業 許可要件

この記事の結論と要約
特定建設業の許可要件は一般建設業の要件と異なる点が2つあります。専任技術者と財産の要件です。この2つは一般建設業より厳しく設定されています。なぜなら特定建設業は元請としての許可なので、一般建設業より責任や義務が重く課せられているためです。特定建設業の専任技術者には指導監督的実務経験が求められます。書類で証明しますので請負契約書は必ず保管しておきましょう。

特定建設業は、主に発注者から直接工事を請負う元請の事業所が取得する許可です。

よって一般建設業よりも厳しい許可基準が課せられています。

また元請として請ける工事の中でも4,500万円以上下請業者に出す業種の工事が特定で必要です。
つまり一般と特定が必要かは業種ごとに判断します。

元請業者であれば絶対に特定が必要というわけではないのでご注意下さい。

特定については以下の記事でもご確認いただけます。

・『特定建設業者必見!元請業者に課せられる義務は?

・『一般建設業と特定建設業の許可の違い。どっちをとればいい?

これら踏まえ特定建設業の許可要件につき確認しましょう。

この記事を読むことで、特定建設業の許可要件を知ることが出来ます

一般・特定建設業の許可要件の違い

一般・特定に関わらず建設業許可を取得するためには6つの要件を満たす必要があります。

◆建設業許可の6つの要件


①適切な経営管理体制(経営業務の管理責任者)

②専任技術者

③誠実性

④財産基礎要件

⑤欠格要件

⑥適切な社会保険に加入する要件 

※許可要件について詳しく知りたい方は建設業許可を初めて取る!申請までにすべきこと、流れを徹底解説!にてご確認下さい。また動画でも許可要件について解説しております。<初心者向け>動画で建設許可要件につき説明しました!

このうち一般と特定で許可基準が異なるのが②の専任技術者と④の財産的要件です。一般よりも許可基準が厳しくなります。

なぜ特定では専任技術者と財産的基礎要件が一般よりも厳しくなるのでしょうか。

特定建設業は元請としての大きな規模の工事を請負うために必要な許可です。

よって元請として技術的な面で統括・指導が出来る技術者が求められます。であれば技術者は一定規模の元請工事の指導監督的な実務経験がある者または資格を有する者が必要だということは頷けるはずです。

また元請業者が資金面が不足していると下請業者にお金が支払えずに連鎖倒産を引き起こすといったことがリスクとしてあげられます。よって自己資金を一定基準以上保有している事業者でなければ特定の許可は取れません。

以上のことから特定では専任技術者と財産的基礎要件が一般よりも厳しくなるというわけです。

それでは1つずつ確認しましょう。

特定建設業の専任技術者要件

特定建設業の専任技術者は次のいずれかに該当することが必要です。

◆特定建設業の専任技術者要件


① 許可を受けようとする業種について、国土交通大臣の認めた技術検定、資格試験などに合格したもの

② 一般建設業の技術者に該当する者のうち、発注者から直接請け負った工事の請負金額が4,500万円以上の工事に関して2年以上の指導監督的な実務経験があるもの

③ 国土交通大臣がイまたはロの物と同等以上の能力を有すると認定した者

一つずつ確認しましょう。

許可を受けようとする業種について、国土交通大臣の認めた技術検定、資格試験などに合格したもの

いわゆる1級の施工管理技士等が該当します。

または監理技術者証でも証明が可能です。必要な資格は業種により異なります。

下記、サイト内検索にて『自社で取得したい業種の工事 専任技術者』とご検索下さい。特定の専任技術者要件を満たす資格が確認出来ます。(例 電気工事業 専任技術者)

② 一般建設業の技術者に該当する者のうち、発注者から直接請け負った工事の請負金額が4,500万円以上の工事に関して2年以上の指導監督的な実務経験があるもの

特定建設業の資格を持っていないが指導監督的実務経験を2年以上有していれば特定の専任技術者として認められています。

◆指導監督的実務経験として認められる工事


①請負金額が4,500万円以上

②発注者から直接請け負った工事

③指導監督的な立場で指揮をとる

 

資格を持っている者がいなければ、①〜③の全ての要件を満たす指導監督的な実務経験を2年以上有する者がいるかどうかをご確認ください。

注意点

指導監督的実務経験を使用して要件を満たす場合の注意点としては2点あります。

1つ目が指導監督的な実務経験は一般建設業の専任技術者の要件を満たせている者でないと認められない、ということです。

例えば、指導監督的実務経験だけが2年あっても、資格を持っていないければ一般の専任技術者要件を満たすことは出来ません。

一般の専任技術者要件に上乗せする形で指導監督的実務経験が2年以上あるかどうか、それを証明出来るかが重要です。ご注意下さい。

ただし実務経験10年の専任技術者であれば、指導監督的実務経験が2年、それ以外が8年でも認められます。

注意点2つ目は指定建設業は実務経験では特定の専任技術者にはなれないということです。

指定建設業とは、専任技術者の要件を資格者に限定している業種を言い、全部で7つあります

◆7つの指定建設業


・土木一式工事業

・建築一式工事業

・菅工事業

・鋼構造物工事業

・舗装工事業

・電気工事業

・造園工事業

ここに書いてある7つの業種の特定の許可を取得したい場合には、指導監督的実務経験では認められません。

よって1級の施工管理技士などの有資格者が必要ということになります。

詳しくは特定の許可取る事業所必見!7つの指定建設業の注意点にてご確認下さい。

③ 国土交通大臣がイまたはロの物と同等以上の能力を有すると認定した者

あまり実務上見受けれませんが、例えば海外で積んだ実務経験や取得した資格など、特定の技術者相当な技術力を有する者だと認定を受ければ特定の専任技術者になれます。

専任技術者要件については以上です。

特定建設業の

特定建設業の財産的基礎要件

特定建設業の財産要件は直近の決算日時点で次の①〜④すべてに該当することが必要です

◆特定建設業の財産要件


① 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと

② 流動比率が75%以上であること

③ 会社の資本金が2,000万円以上あり、かつ、 自己資本金の額が4,000万円以上であること

簡単に確認しましょう。

①の欠損の額とは繰越利益剰余金がマイナスになる場合に注意が必要です。またマイナスであってもプラスの剰余金の合計学がマイナスを上回る場合には気にしなくて大丈夫です。

 

②の流動比率とは貸借対照表上の流動資産と流動負債の割合を指します。

流動資産÷流動負債≧75% 

これを満たせば大丈夫です。

 

③ 特定建設業は資本金が2,000万円以上でないといけません。

合わせて貸借対照表上の自己資産額が4,000万円以上必要です。

ここでの注意点を2つ。

(1)新設法人が特定建設業の許可を取る場合、最初に会社に払い込む資本金の額が4,000万円以上にしないと特定の許可は取れません。決算書がないので資本金=自己資産額になるからです。

(2)建設業法上、毎年決算変更届を提出しますが、この財産要件を満たせているかは決算変更届の時点では確認されません。つまり特定の許可を持っている事業者が一時的に財産要件を満たせていなくても、そのことだけが理由で特定の許可が取れないということはありません。

ではどのタイミングで特定建設業の財産要件を満たせているかを確認されるのでしょう

それは業種追加申請時、更新申請時です。

これら申請時に直近の決算書の内容で特定建設業の財産的基礎要件を満たせていなければ、特定の業種追加申請には受理されません。更新申請も同様です。

更新許可年度に借入れ額を増やしたりすると特定の許可が継続出来なくなることもありますのでご注意下さい 。

まとめ

特定建設業の許可要件につきまとめました。

特定が必要な建設業者は元請として比較的規模の大きい工事を請負う建設業者です。よって一般よりも専任技術者と財産的基礎要件が一厳しくなります。

専任技術者要件に関しては資格者がいるのが一番望ましいです。もし実務経験で証明する場合には、審査窓口にて請負契約書の原本提示が求められることもあり比較的証明が難しくなります。

であればまずは監理技術者資格者証を発行することをお勧めします。

監理技術者センターで一般建設業の資格を有している者が指導監督的実務経験を2年以上有していると認められれば監理技術者証が発行されます。この監理技術者証があれば特定の専任技術者要件を満たせます

監理技術者センターでは原則、請負契約書等、原本提示が原則求められません。過去の書類を外部に持ち出すことが難しい建設業者さんはまずご検討ください。

いずれにせよ特定の許可を取得すれば監理技術者証が必要になることがほとんどですので、まずは監理技術者証の発行から申請するのが効率的だと個人的には思っています。

財産的基礎要件に関しては業種追加と更新申請の直近の決算書で判断される点につきご注意下さい。