経営事項審査の歴史と趣旨についてまとめています。経営事項審査を大きく理解するために知っておいて損はないでしょう。
公共工事を元請業者として請け負うためには経営事項審査を受ける義務があることをご存知の方は多いのではないでしょうか。
しかし、なぜ経営事項審査を受けなければならないのか。
このことをはっきりと知っているという方はどれほどいらっしゃるでしょうか。点数を1点でも多く上げたいという想いも大切ですが、この経営事項審査制度の趣旨や成り立ちを知っておくことも公共工事を入札する姿勢としては同様に大切でしょう。
この記事を読むことにより、なぜ公共工事を請負うためには経営事項審査を受ける義務があるのかを知ることが出来ます。
経営事項審査の趣旨
経営事項審査の義務付けの趣旨は次のように言われています。
確認しましょう。
公共工事の適性施工確保
公共工事は自治体が発注者です。
税金で工事の請負代金を支払うために公平公正である必要があります。
そこで法律により事業所の能力等を適正に評価する客観的基準を制度化させました。それが経営事項審査です。
経営事項審査は昭和36年に法制化されていましたが、義務付けられたのは平成6年です。
国が管轄する基準として義務付けられたので、入札参加資格申請においても重要性が高まりました。
経営事項審査の数値が公開されることにより、客観的に受注者を選別している印象を与え、新たに参入する建設業者の適性施工確保のため不良、不適格業者の排除につながりました。
公共工事の発注者からすれば、技術者、売上高、経営状況などの客観性の高い情報を一元的に把握できる総合評定値Pは適性施工確保に多いに役立ちました。
コスト削減
地震を始めとする災害発生時の建設業が担う役割と責任は極めて重要です。
震災時には公共工事の発注が増えますが、建設業者も景気がいいわけではありません。多くの事業所が入札に参加します。
一般的に考えれば、なるべく早く復興するためには技術力の高い事業所に少しでも多く工事を発注したいですよね。経営事項審査と入札参加資格申請により事業所をランク付けし、迅速な事業所を選定するコストの削減につながりました。
こういう事務手続き上のコストを削減するためにも経営事項審査の活用も大いに期待されています。
まとめ
発注者側にとって重要な情報を把握でき、客観的な情報を基により適切な事業者を選別する制度が経営事項審査です。
建設業者にとっても何をすれば公共工事を入札出来るか、総合評定値が高くなるかなどの基準が明確になり、社会保険加入義務などのコンプライアンス遵守思考が高まりました。
経営事項審査の重要性が高まるほど、虚偽申請の防止や公平性ある評価が必要不可欠になります。時代の流れに沿って、審査項目や審査方法は随時改正されていくでしょう。