建設業許可 法人化 同時

この記事の結論と要約
建設業の許可と同時に個人事業主から法人化する人向けに書いた記事です。注意して欲しい点が会社を設立する手続きと、建設業の許可を取得する手続きは別ということです。別ですが整合性がないと許可は取得できません。どんな法人を設立しても建設業の許可が受けられるわけではないということです。手続き上の注意点をまとめています。

建設業の許可の取得をきっかけに法人化しようとする事業所は何点か注意しておかなくてはならないことがあります。

まず前提として、法人の設立手続きと建設業の許可申請は別々の行政手続きということです。

これの意味することは、それぞれの要件を満たせばそれぞれ独立して目的は達成されます。しかし自由勝手に法人を設立しても建設業の許可を取得出来ません。

みなさんが目指すところは建設業の許可を取得出来る法人を設立することですよね。そのためには設立時に注意しなくてはいけないことがあります。これらを無視した法人を設立すると、許可取得が遅れるだけでなく必要なコストもかかってしまいます。

新たに法人を設立して建設業許可を取得する際の注意点を確認しましょう。

今回はいまだ許可を取得していない人むけの記事です。既に個人事業主として許可を受けている人が法人化する場合とは分けて書いています。

すでに個人事業主で許可を持っている人が法人化して許可を取りたい場合は法人成りの手続きが必要です。詳しくはこちらの『建設業許可を受けている個人事業主が法人化したら許可はどうなる?』をご覧ください。

この記事を読むことで、建設業許可と法人を同時に設立する際の注意点が分かるようになります

3つの注意点

建設業の許可取得を前提とした会社を設立する際には主に次の3つの注意点があげられます。

◆法人化と許可手続きを同時に行う場合の3つの注意点


・役員の中に経営業務の管理責任者の要件を満たしている人が最低1人いること

・財産的要件は満たせているか

・定款の事業目的に申請業種は書かれているか

1つずつ確認しましょう。

①役員の中に経営業務の管理責任者の要件を満たしている人が最低1人はいること

経営業務の管理責任者とは簡単にいうと建設業の経営のプロです。

詳しい条件は『建設業の許可要件である経営業務の管理責任者を5分で理解!』でご確認下さい。

役員とは、取締役のことだとお考えください。登記簿謄本で役員の項目がありますが、その中に名前がないと原則、経営業務の管理責任者として認められません。法人の場合、経営業務の管理責任者の名前が役員欄にあることが必須です。

会社を設立する場合に、経営業務の管理責任者の要件を満たした人を役員として登記することを意識しましょう。

②財産的要件を満たしているか

会社は資本金が1円から設立出来ますが、建設業の許可には自己資本金額の要件があります。

財産的要件は一般と特定で次のように異なります。

◆建設業許可の法人の財産的要件


・一般建設業許可は自己資本額が500万円以上

・特定建設業許可は資本金2000万円以上かつ自己資本金4000万円以上

自己資本額は直近の決算報告書、資本金は登記簿謄本で判断されます。

設立したばかりの法人は決算期が到来していません。なので特定建設業の場合、設立時の資本金が4000万円以上あれば要件を満たしているとなります。

③会社の定款の事業目的に、建設業許可を取得しようとする業種が具体的に記入されているか

会社には定款という会社のルールをまとめたものがあります。

定款の項目の1つである事業目的に申請業種の工事名が書かれていないと許可は取れません。申請業種と同一の内容で記入すれば基本的に問題ないです。(ex,電気通信工事業、電気工事業)

なお窓口の申請時において申請業種に関する目的が明記されていなくても「次回の株主総会で変更する」等の念書を添付すれば、新規申請や業種の追加申請の初回に限っては大丈夫なこともあるそうです。

しかし定款の事業目的を後々変更することはその都度、手数料がかかります。新規申請時に書いて置くことがベストです。将来的に取得するであろう許可も書いておきましょう。建設業許可 法人

まとめ

いかがでしたでしょうか。

建設業許可を取得と法人設立は、複合的に考えなくてはいけないことがあります。会社の設立は資本金は1円からでも設立出来ますが、資本金が1円で特定建設業の許可は取得出来ないことがその例です。

代表的なものは上の3つですが、会社によってどういう事業戦略をとるかで、設立時にとるべき手続きは変わります。会社設立と建設業許可は行政書士が得意とする分野であり専門家も多数います。同時に着手する場合は、ご相談することをおすすめします。