建設業許可 法人成り新規

この記事の結論と要約
個人事業主で建設業許可を受けている人が法人を設立した場合の建設業許可の取扱についてまとめています。建設業の許可は法人に引き継がれません。まず個人事業主の廃業届を出し、新たに設立した法人で再度建設業の許可申請をする必要があります。


※この記事は法改正前の記事です。現在、個人事業主の許可を法人に事業譲渡申請することが認められています。

個人事業主として建設業の許可を受けている方が法人化を検討する際に読んでいただく記事です。

個人事業主で既に建設業許可を持っている事業所から、事業の拡大に伴い法人を設立したいという相談がよせられます。

法人化した場合、個人事業主時代に取得した建設業許可を新法人に引き継げるのでしょうか

この記事を読むことで個人事業主で受けた建設業許可を法人に引き継げることが出来るかどうかを知ることが出来ます

許可は引き継げない

個人事業主の許可を法人に引き継ぐことは出来ません。

改めて法人で建設業の許可を新規で取得する必要があります。

法人化への注意点

個人事業主の許可は法人に引き継げません。

よって一旦個人事業主の許可を廃業し、法人で建設業の許可を取りなおす必要があります。

つまり法人の許可が下りるまで無許可期間が発生します

その間、500万円以上の工事を請けることは出来ません。申請書を提出するタイミングには注意しましょう。

空白期間を一番短くする方法は個人事業主の廃業届と法人の新規申請書を同時に提出することです。

知事許可であれば営業日ベースで30日、大臣許可であれば120日程度の審査期間とお考えください。

アイコン-チェック・個人の建設業許可は法人に引き継げない
・個人の建設業許可の廃業届→新規法人の建設業許可申請の順番で手続
・無許可期間が生じる
・法人の申請審査期間中は500万円以上の工事を請け負うことは出来ない

次は法人特有の審査を確認しましょう。

法人化する際の許可要件に注意

法人化すると個人事業主では問われなかった項目も審査されます。

代表的なものは

 

①事業目的

②資本金

③役員の就任期間

 

この3つです。

新規申請時には①事業目的と②資本金にご注意ください。

定款及び登記簿謄本上に事業目的に許可を取得したい業種の記載がないと許可は取れません

資本金は可能であれば500万円以上に設定しましょう。

許可取得後には③取締役の就任期間に注意が必要です。就任期間が切れていると許可は更新出来ません。

アイコン-チェック・個人と法人では審査項目が異なる。法人でも許可の要件を満たせているか注意
・事業目的には取得したい業種を書く
・資本金は500万円以上に設定するのが望ましい
・廃業届と新規申請書を同時に提出することが無許可期間を短くする

定款とは

テイカンと読み、法人を設立する場合に必ず作成する書類です。

定款には会社の名前、本店の住所、資本金額、株式、組織、運営など会社の基本的な事柄を記入して認証を受けます。この認証を受けないと法人と認めらられません。

会社の憲法なんて言われています。定款見本

また今すぐ許可は取らなくても将来的に許可を取りたい業種もありますよね。
(ex,今回は電気通信工事の許可を取りたいが、3年後に電気工事の許可を取りたい)

その場合、将来的に取得したい工事業種も定款作成時に記入することが望ましいです

許可要件を継続するための手続

個人事業主だと経営者はその本人のみです。

しかし法人化すると会社の経営者、つまり取締役は一人に限らず複数人選任出来るようになります。

今後会社を長期的に継続させるためには、建設業の許可要件を満たせる体制作りも重要です。

というのも、個人事業主の方一人で許可要件を満たしていれば、その方が入院など長期的に出社出来ない状態になれば許可要件を満たせなくなります。その場合、許可の取消申請が必要です。

それらを防ぐためにも個人事業主本人以外の方も取締役として登記をしましょう

後継者候補でもいいですし、ご結婚されている方は配偶者の方でも問題ありません。個人事業主本人以外の誰かを5年以上取締役に就任させることが大切です。

こうすることで許可要件の一つである適切な経営管理責任体制を満たせるからです。

適切な経営管理責任体制についてはこちらの『建設業の許可要件である経営業務の管理責任者を分かりやすく』をご覧ください。

専任技術者も他の候補者を準備する

建設業許可を継続するためには、個人事業主本人以外にも専任技術者の要件を満たせる人が必要です。

他に専任技術者の要件を満たせる人物も可能であれば育てましょう。資格を持っていない場合、原則10年間の実務経験があれば専任技術者になれます。

よって自社の経験だけで上記証明できるようにするため、自社の社会保険に10年以上加入させましょう。

社会保険への加入は必須

これから10年以上も社会保険に加入させることなんてイメージ出来ないと思います。
しかし、法改正により建設業の許可要件に社会保険の加入が義務付けられました。

社会保険に加入しないと許可は取得も継続も出来ません。

後継者を育てるとは関係なく、必ず社会保険への加入のお手続きをされてください。

詳しくは『建設業許可の要件化!社会保険の加入は必須|建設業法改正』でご確認ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

個人事業主の建設業の許可は法人に引き継げません。

法人化する際は次の4点にご注意ください。


①無許可期間が生じる

②個人と法人では審査項目が異なる

③事業目的、資本金、取締役の就任期間に注意する

④自分以外でも許可を継続できる体制作りに取り掛かる


以上です。