建設業許可の財産要件をまとめています。一般か特定により財産要件は異なります。一般は自己資本の額が500万円以上、特定は4,000万円以上となっています。しかし自己資本の要件を満たしていれば当然に財産要件がクリアーというわけではありません。具体的な要件や証明方法は記事でご確認下さい。
建設業の許可を受けるためには5つの要件を満たさなくてはいけません。そのうちの1つは財産的要件です。
手引き等には請負契約を履行するに足る財産的基礎を有することと書かれています。
請負契約は建物完成後も建物に不備がないこと等の長期間に渡って責任を問われます。資金繰りが厳しくて施工中に倒産してしまいそうな会社に大きな工事を任せるわけにはいきません。
2016年の台湾の台南市の大地震でマンションが倒壊しましたよね。マンションを施工した会社は建設中に資金繰りが厳しくなり、本来コンクリートを詰める柱の部分を一斗缶で補おうとしました。建設会社が最低限の財産がないと手抜き工事につながる可能性が生じます。
そういう事態を避けるための財産的要件です。この記事を読むことで建設業許可に必要な財産要件を知ることができます。
建設業の具体的な財産的要件は?
では請負契約を履行するに足る財産的基礎を有することとは具体的にどれくらいの金額でしょうか。
「一般」と「特定」により要件が異なります。「一」と「特定」の違いについて知りたい方は『一般建設業と特定建設業の許可の違い。どっちをとればいい?』をご覧ください。
一般建設業の場合
次のうちのいずれかに該当すれば許可要件は満たしたことになります。
これらは全て書面で証明します。
1つずつ確認しましょう。
①直前決算で自己資本が500万円以上あること
自己資本額=総資本-他人資本です。
財務諸表により証明します。
法人であれば純資産合計額が500万円以上あること。
個人事業主であれば、期首資本金、事業主借勘定、事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金、準備金の額を加えた金額が500万円以上あることです。
②500万円以上の資金調達能力があること
自己資本金額が財務諸表上で証明出来ない場合は次のいずれかの方法で証明します。
③許可取得後に5年間の営業実績を有すること
許
可の更新時には、毎年決算変更届を提出しているため証明書は不要です。
新規で許可を取得する人は必ず①か②の方法で財産証明をします。
特定建設業の場合
特定建設業は元請の許可です。
つまり一般より許可の要件が厳しくなります。元請が倒産されたら連鎖倒産を引き起こしかねません。厳しいくなることは当然ですね。
一般建設業はいずれかに該当すれば要件は満たせました。しかし特定建設業は次に掲げる条件の全てに該当しなければいけません。
1つずつ確認しましょう。
①欠損の額が資本金の20%を超えないこと
欠損の額とは次の額をいいます。
法人の場合・・貸借対照表のマイナスの繰越利益剰余金が資本剰余金、利益準備金、その他利益剰余金の合計額を上回る額
個人の場合・・事業主損失が、事業主借勘定から事業主貸感情の額を控除した額に負債の部に計上されている引当金、準備金を加えた額を上回る額
②流動比率が75%以上であること
貸借対照表から判断します。計算式は次の通りです。
流動資産÷流動負債=75%以上
③資本金が2,000万円以上であり、かつ、自己資本が4,000万円以上であること
一般建設業の資本金が500万円以上であるのに対し、特定建設業は2,000万円以上です。
個人事業主の場合、期首資本金に該当します。
自己資本は総資本-他人資本です。貸借対照表から確認します。
注意点
財産要件は書類で証明します。
財務諸表を使って証明する場合、申請時の直前の決算期における数字で判断します。
直前の財務諸表では要件を満たしていないが、許可申請時までに増資を行うことによって要件を満たせばこの基準を満たせているものとして取り扱われます。
まとめ
建設業の許可要件の財産的な基礎要件は「一般」と「特定」で異なります。
そして特定の方が要件は厳しいです。なぜなら特定は下請けに大きな工事を発注出来る権限があるからです。仮に元請が潰れてしまったら一次下請け、二次下請けと連鎖的に潰れていく恐れがあります。
既存の事業所にあっては申請時の直前の決算期における財務諸表で判断します。新規設立法人の場合は創業時における財務諸表で財産的要件を満たしておく必要があります。
一般の建設業許可を既に取得している事業所が特定の許可を取得したい場合や将来的に考えている方は『建設業許可の申請区分の『般・特新規申請』とは?』をご覧ください。