この記事はyoutubeで配信している建設業許可制度のイロハ教えます!の内容を文字起こししたものです。
建設業許可制度の前提知識についてまとめましたのでお役立て下さい。
これから建設業許可を取ろうとしている事業所さんや、建設業を取り扱い業務にしたいと考えている行政書士の先生方向けの記事です。
今回は、建設業許可を取るための要件を勉強する前段階の話として、建設業許可の概要を大まかに確認しましょう。
これから許可制度を初めて調べるような方を想定した内容ですので、全く知識がない方でもご安心下さい。
Contents
建設業許可の情報とは?
まずこちらをご覧ください。
日本最大手のゼネコンの1つ、大林組さんの建設業許可の情報です。
これを見て、それぞれの項目が何を意味しているか、瞬時にわかりますか?
ここに書いていることがわかるようになれば、建設業許可制度を大まかに理解している状態だと言えます。
こちらを例に、建設業許可の情報の調べ方や項目の内容について確認していきましょう。
建設業許可の情報を調べるには?
上に書いた大林組さんの情報は、国土交通省の検索システムを使えば誰でも確認できます。
この検索システムに調べたい会社を入力すると、『現在』その会社が建設業の許可を持っているかどうかがわかります。
言い換えれば、昔は建設業の許可を持っていたけれど現在は建設業の許可を持っていない事業所の情報は調べられません。
建設業を取り扱い業務にするのであればこちらの検索システムは頻繁に使いますので、ブックマークすることをおすすめします。
建設業許可の情報の見方
建設業許可の情報のポイントとなるのは、以下の5項目です。
なお、この5項目は、検索システムの詳細情報では以下のように記されています。
各項目について、順に説明していきます。
① 許可番号
建設業許可を受けた会社には建設業許可番号が付与されます。
この黄色い背景で囲われた第3000号が大林組さんの許可番号です。
つまりこれを見て、
と認識できればOKです。
② 業種
次に業種について確認しましょう。
業種というのは、工事の種類を細分化したものです。
工事と一言で言っても、施工内容によって必要な知識・技術・経験というのは全く異なります。
例えば、
・ダムやトンネルを作る仕事
・部屋をリフォームする仕事
これは両者とも建設業に該当しますが、施工内容・必要な技術は全く異なります。
そこで、工事の種類によって適切な施工体制を確保できるようにし、建設業法で工事を下記の29種類に細分化しています。
申請業種を特定する
ここまでで、建設業法上、業種が29種類あることが確認出来ました。
建設業許可を取得したい事業所さんにとって重要なのが、自社で施工する工事が29種類のうちのどれに該当するのか、業種を特定することです。
このようにまず自社で施工する業種を29種類の中から特定し、その業種の建設業許可が取れるのかどうかを精査します。
これが、建設業許可を進めていく上でとても重要です。
業種ごとの適法・違法の基準
突然ですが質問があります。
建設業法で、許可を取得しないで請負うと違法になる工事の請負金額の基準があります。ご存じでしょうか?
原則、請負金額が500万円(税込)以上になる工事です。
これが違法になるかどうかも、業種によって判断します。
例を見てみましょう。
大事なことは、自社で請負い施工する工事に該当する業種の建設業許可を持っているかどうか。これが適法・違法の基準です。
建設業法上、業種は全部で29種類あり、業種に対応した工事に該当する許可を取らなくてはなりません。
では、自社で申請するべき業種の判断基準はどのようにして調べるのでしょうか。
これら業種の判断基準も、国土交通省により公開されていますので、ご確認いただければと思います。
→国土交通省 業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)
それを踏まえて大林組さんの許可業種を確認しましょう。
→29業種のうち1つのみ空白、つまり28業種の許可を取っていることが確認できます。
ここまでこの記事を読んでいただいた方の認識として、
となっていれば大丈夫です。
③ 「一般」と「特定」
これらは、般は一般、特は特定をそれぞれ意味しています。
一般と特定の意味の違いを確認しましょう。
建設業許可は、自社で請負う工事が税込500万円以上になる場合に必要です。
そこから工事を受ける立場、金額によって取得すべき許可の種類が異なります。
チャートで確認しましょう。
つまり一般と特定の違いはこのようになります。
つまり、特定の許可区分が必要な建設業者は元請業者かつ4,500万円以上の下請工事を結ぶ建設業者です。
一般と特定の違いはわかりました。
ではなぜ、一般と特定というように分ける必要があるのでしょうか。
500万円以上の工事を請負うにあたり自社だけで施工することもありますが、下請業者と協力して工事を施工することもあります。
一般的に、工事の請負金額が大きくなるにつれ下請業者さんが増えていく、という傾向があります。
大規模な工事を完成させようとすると複数の工事業者が関係してくる、という意味です。
すると、建設業という事業の特性上、工事の発注者と直接請負契約を結ぶ元請業者の責任が重くなっていきます。
なぜなら、工事現場で下請業者に指示を出すのは元請業者の技術者、下請業者が施工した工事の代金を支払うのも元請業者、そうなると元請業者は下請業者より厳しい許可基準を課す必要があるからです。
それが、特定と一般の違いです。
もし自社が元請として工事を請けることが絶対にないのであれば、一般の許可区分だけで充分とも言い換えられます。
また、この一般と特定も業種ごとに区分します。
例えば、
「内装仕上工事業は元請として大きな仕事を施工するから特定が必要だけど消防施設工事業はそもそも4,500万円を超す仕事を請けない」
という場合、消防施設工事業は一般の建設許可で大丈夫です。
ここで、大林組さんの情報を再度確認しましょう。
ということがわかります。
④ 許可年度
次に、許可年度について説明します。
「般」と「特」の隣にある数字の1、これが許可年度を示しています。
この部分は許可を受けた年ではなく、許可を受けた年度を示しています。
大林組さんの許可年月日を確認すると、令和2年の1月29日に許可を受けたことがわかります。
令和2年1月は令和元年度つまり令和1年度なので、この建設許可を受けた年度は「1」となります。
もちろん大林組さんはもっと昔から許可を受けていますが、検索システムでは現在の有効な許可情報しか確認出来ません。
大林組さんの例で言えば
「令和2年の1月29日に28業種の建設業の許可が更新された」ということがわかります。
なお、建設業の許可の有効期限は5年ですので、大林組さんが次回更新すればこの1が6になる可能性が高いといえます。
つまり、次回許可を受ける年度は令和6年度です。
ここまでご覧になってる方の認識としては、
大林組さんは建設業許可を持っていて許可番号は3000で全部で28業種の許可を受けている
27業種は特定で取り、消防施設工事業は一般で取っている
大林組さんは昔から許可を持ってきたことは間違いないから、令和元年(=令和1年)度内に更新許可が下りている
こうなっていればOKです。
⑤ 許可行政庁
次が最後です。
これは許可を与えた者を示しています。
(以下、許可を与えたものを許可行政庁と言います。)
許可行政庁は大きく2つに区分されます。
これは許可を受けようとする建設業を営む営業所が複数の都道府県にあるかどうかで決まるということです。
どのようなケースがあるか、見てみましょう。
ケース 1
2つ以上の都道府県に複数の営業所がある場合
ケース 3
営業所が1つのみの場合
つまり、支店がそもそもないのであれば、営業所を管轄する都道府県知事が許可行政庁になります。
注意点としては、ここでいう営業所とは、建設業を営む営業所ということです。
もし全国に支店がある会社でも、東京都にある営業所でしか建設業を営んでいないのであれば、その会社は東京都知事が許可行政庁になります。
まとめ
ここまでの内容を踏まえて、再度確認しましょう。
この情報からは、以下の内容が読み取れます。
大林組さんは建設業許可を持っていて、許可番号は3000で、全部で28業種の許可を受けている
27業種は特定で取り、消防施設工事業は一般で取っている
大林組さんは昔から許可を持っていたことは間違いないので、令和元年度内に更新許可が下りたと思われる
許可行政庁が国土交通大臣だから、少なくとも複数都道府県に建設業の営業所がある
ここまでご覧になった方は、こういうふうな認識になっていればOKです。
いかがでしたでしょうか。
とりあえずこの大林組さんの許可情報が何を意味しているのかが分かるようになれば、建設業許可制度の前提知識は整ったといえます。
なぜなら、これらの知識がないと適切な建設業の許可を取れないからです。
この知識があった上で建設業許可の要件をお調べいただき、適切な許可を取得されてください。
動画でも説明しております!
・ここに書いてあることと同じ内容を動画でも説明しています。こちらからご視聴ください。
・建設業の許可要件に関してはこちらからご確認ください。
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