この記事はYouTubeで配信している「【建設業許可】申請に必要な書類と集め方につき簡単解説!」の内容を文字起こししたものです。
建設業許可を申請するためには数多くの書類を収集する必要があります。その書類と集め方につき解説しました。
今回お話しするテーマは「建設業許可取得に必要な書類の収集方法」です。
建設業許可を取得するためには、申請書を提出しなくてはいけません。
申請書には別途添付書類が必要です。
この添付書類についての収集方法を解説いたします。
なお今回は、実務経験や資格者など事業者によってケースバイケースとなる書類は省き、許可を取得する全ての事業者に共通で必要な書類に絞って説明いたします。
※ いま挙げた専門用語がわからなかった方は、こちらの動画で解説していますのでご確認下さい。
⇒ 【建設業許可制度のイロハについて教えます!】
先ほど「すべての業者で共通に必要な書類」と言いましたが、個人事業主と法人では形態が違うのでそれぞれ特有の添付書類があります。
よってこの記事ではまず【1】個人事業主/法人の両者に共通する書類を確認してから、【2】法人/個人事業主それぞれに特有な必要書類という順番で解説いたします。
自分で申請書を作成する方や、建設業の申請経験があまりない行政書士の方にお役立ていただければ幸いです。
Contents
建設業の許可申請に必要な書類(個人事業主/法人共通)
必要な添付書類は全部で6つ
まず、個人事業主/法人関係なく建設業の許可申請をする場合に必要な書類を確認しましょう。
建設業の許可申請に必要な添付書類は下記のとおりです。
①身分証明書
この「身分証明書」とは、運転免許証やパスポートではありません。本籍地を管轄する市役所等で発行する書類です。
“破産者で復権を得ない者”に該当しないことを証明する書類です。
破産者とは自己破産をした人のことです。自己破産をすると、自由に職業に就くことに制限が課せられます。
この発行対象者は制限のかかった破産者ではない、ということを市区町村長が証明したものが身分証明書です。
発行対象者は、経営者です。
法人であれば、
・代表取締役/取締役
・令3条の使用人(=支店長)
個人事業主であれば、原則、本人です。
発行には、対象者の次の情報が必要になります。
・ 氏名
・ 生年月日
・ 住所
・ 本籍地
本籍地は、対象者が本籍地付きの住民票を発行すれば確認できます。
注意点として、経営者が多い会社は身分証明書の取得に手間・時間がかかることです。
身分証明書を発行する役所=対象者の本籍地を管轄する市役所等なので、対象者の数だけ申請しないとなりません。
本籍地を管轄する市役所が遠方の場合、郵送で申請しなくてはいけないので、時間には余裕を持って取り組みましょう。
もし代理で取得する場合には委任状が必要です。委任状には、対象者本人の直筆で氏名を書いてもらいましょう。
② 登記されていないことの証明書
これは、成年被後見人、被補佐人に該当しないことを証明します。特に心当たりが無ければ心配無用です。
発行対象者は①の身分証明書と同じ「経営者」です。
発行する機関は、
・東京都 ⇒ 法務局の後見登録課
・東京都以外 ⇒ 法務局戸籍課
発行に必要な書類は①身分証明書と同じなので割愛します。
注意点としては、登記されていないことの証明書を郵送で取得する場合は東京都の後見登録課でしか対応していない点です。
郵送申請する場合は、
① 返信用封筒
② 1通あたり300円の収入印紙
③ 委任状
④ 運転免許証のコピー
(※ ③・④は代理申請の場合)
を同封することを忘れないようにしましょう。
③社会保険の領収書
建設業法が改正され、適切な社会保険に加入していることが要件に加えられました。
適切な社会保険については、事業者によって異なります。
詳細は別の動画「建設業許可要件につき分かりやすく解説してみた」の8分12秒以降にて詳しく解説しておりますので、こちらからご確認下さい。
⇒ 【初心者向け!建設業許可制度につき徹底解説!】
一般的には、法人であれば「保険料納入告知額領収済通知書」のコピー、個人事業主であれば「国民健康保険料の領収書」 の写しが使われることが多いです。
また、社会保険とは別に、雇用保険も確認されます。
雇用保険については、対象労働者がいる場合には
① 直近の概算・確定保険料申告書
② 領収書
のコピーが必要になります。
雇用保険を労災とは別に申告している事業者は、雇用保険料に関する申告書・領収書が必要なのでご注意下さい。
④財産要件に関する書類
建設業許可には財産要件が課せられています。
その要件は「一般」か「特定」かにより異なります。それぞれ確認しましょう。
一般の財産要件
一般の財産要件を満たしている証明には、下記の①か②の書類が必要です。
① 500万円以上の預金のある銀行口座残高証明書
・・・これは銀行の窓口で発行する書類になります。有効期限が発行(証明日)から1ヶ月以内である点につき注意しましょう。
② 自己資本額が500万円以上ある貸借対照表
・・・直近の決算において貸借対照表上の純資産額が500万円以上であれば、要件を満たせます。建設業許可の申請書の一部に貸借対照表を含む財務諸表があるので、そこで証明します。
特定の財産要件
特定は、一般よりも財産要件が厳しく課せられています。証明書としては次の通りです。
① 履歴事項全部証明書
② 貸借対照表
これらの書類で直近の決算で資本金2,000万円以上、自己資本額4,000万円以上あることなどを証明します。
⑤ ケーカン、専任技術者になる方の健康保険証
原則、健康保険証には会社名が書かれています。そこで、申請会社にて常勤性があるかが確認されます。
健康保険組合に加入している場合は保険証に会社名が書かれていないことがあるので、その場合は「組合加入証明書」を発行してもらって下さい。
もし支店も建設業許可を受ける場合には、令3条の使用人の健康保険証も必要です。(営業所が複数ある場合の支店長)
⑥ 営業所の写真
営業所要件を満たせていることを写真で証明します。
営業所要件に関しては「建設業許可要件につき分かりやすく解説してみた」の10分40秒以降にて詳しく解説しているので、良ければご覧下さい。
⇒ 動画はこちらから
原則、営業所というのは申請者のみに使用する権利がある部屋ということが望ましいです。
許可行政庁によっては、固定電話が無いと営業所として認めていないのでご注意下さい。
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以上、申し上げた6点は個人・法人例外なく共通して申請に必要な書類です。全て重要な書類なので、1つでも揃っていないと申請書は受理されない可能性があるのでご注意下さい。
法人/個人事業主、それぞれに特有な必要書類
ここからは法人/個人事業主、それぞれに特有な必要書類について確認しましょう。
法人特有の必要書類
法人特有の必要書類は全部で3つあります。
① 履歴事項全部証明書② 定款
③ 納税証明書
それぞれ確認しましょう。
① 履歴事項全部証明書
通称「登記簿」です。会社の情報が適切に登記されているかが確認されます。
有効期限は発行後、3か月以内です。
② 定款
定款とは、会社の憲法と呼ばれている書類で、会社の基本的なルールを定めている書類です。
③ 納税証明書
知事許可/大臣許可によって必要な納税証明書が異なります。
● 知事許可の場合
⇒ 都道府県税事務所が発行する直近年度の法人事業税の納税証明書
● 大臣許可の場合
⇒ 税務署で発行する直近年度の法人税の納税証明書
個人事業主特有の必要書類
個人事業主特有の必要書類は全部で2つです。
それぞれ確認しましょう。
① 直近の確定申告書
この書類が必要な理由は、現在、独立しているかどうかを確認するためです。
② 個人事業税の納税証明書
直近年度の納税証明書が必要です。また、発行先に特に注意が必要です。
なぜなら、事業税が発生しているか否かで発行できる機関が変わるからです。
● 事業税が発生している場合
⇒ 都道府県税事務所および税務署で発行が可能
● 事業税が発生していない(=非課税である)場合
⇒ 発行先は税務署だけになる
※ 税務署にて「申告所得税の納税証明書その(2)」を発行してもらって下さい。
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以上、必要書類でした。
まとめ
お疲れさまでした!
今回は建設業許可取得に必要な書類の収集方法についてお話ししました。
今回の動画でお話しした書類は新規で許可を取得するすべての建設業者が集めなければならない書類といっても過言ではありません。
注意点としては“これら書類があれば許可が取れるわけではない”ということです。
これら書類とは別に、許可要件に関わるケーカンや専任技術者の証明資料が必要です。
ケーカンや専任技術者の証明資料は建設業者によって必要書類がケースバイケースですので、この記事で一概には言えません。
ケーカンと専任技術者の証明書類については別の動画で詳しく解説したのでそちらをご視聴下さい。
⇒ 【経営業務の管理責任者とは】