専任技術者 緩和要件

この記事の結論と要約
専任技術者になるための要件の1つに申請業種の10年以上の実務経験があります。原則実務経験は10年間必要ですが、9つの業種に限ってはある条件を満たすと8年の実務経験で専任技術者要件を満たせられます。そのある条件というのが、対応する一式工事の実務経験が4年以上必要あることです。

許可要件の『専任技術者』になるための条件の1つに一定以上の実務経験があります。

実務経験のみで専任技術者として配置する場合、許可を受けようとする業種(以下、申請業種)の10年以上の実務経験が必要です。

つまり、資格もなく指定学科を卒業していない技術者が10年間の実務経験がない場合は専任技術者になることは難しいと言えます。

しかしとある業種に限り、一定条件を満たせば申請業種の実務経験が10年間なくても専任技術者として認めれます。

これを実務経験の要件緩和といいます。

具体的には申請業種と技術面で親和性が高いと認められる専門工事に関しては一式工事業の実務経験も合算して専任技術者として認めるといったものです。

言い換えれば、この実務経験の要件緩和は一式工事業の経験がない者には関係ありません。もし一式工事業の経験がある者を専任技術者として登録したい方は読み進めてみて下さい。

実務経験のみで専任技術者を配置する予定の事業所は申請業種の実務経験が10年以上なくても許可を受けられる可能性があります

実務要件の緩和を認める業種の範囲

大前提として、2つの一式工事を除く27種類の専門工事の全ての業種が実務経験要件緩和の対象となるわけではありません。

実務要件の緩和対象となる業種は次の9つの専門工事です。

◆実務経験の緩和要件の対象となる9つの専門工事


①とび・土工・コンクリート工事業

②しゅんせつ工事業 

③水道施設工事業

④大工工事業 

⑤屋根工事業

➅内装仕上工事業 

➆ガラス工事業

⑧防水工事業

➈熱絶縁工事業

許可取得を希望する業種がこの枠の中にあれば、実務経験の要件緩和の対象です。

逆に言えば、ここに記載のない業種の許可を取りたければ、実務経験のみで専任技術者になるためには最低10年以上必要になります。

要件緩和とは具体的に何年に短縮される?

要件緩和の実務経験を用いて申請する場合には申請業種の必要実務経験は8年に短縮されます。

この8年に一式工事の実務経験を合算して、専任技術者の実務経験要件を満たします。

一式工事の実務経験と合算する

要件緩和で申請する場合、一式工事の実務経験が必要だと書きました。

この一式工事の必要な実務経験期間が4年です。

申請する専門工事8年以上の経験と一式工事の実務経験が合計で12年以上あれば要件緩和で申請が可能になります。

◆実務経験の要件緩和の条件


① 専門工事の実務経験が8年以上

② 専門工事に対応する一式工事の実務経験が4年以上ある

 

この2つの条件を両方ともクリアーする必要があります。

では②の専門工事に対応する一式工事とは何かを確認しましょう。

一式工事は土木一式工事と建築一式工事です。要件緩和の対象となる9種類の専門工事と親和性の高い一式工事業とは次のように分類されます。

土木一式工事に対応する専門工事の実務経験の要件緩和

次の土木一式工事の要件緩和の対象となる業種は次の通りです。

◆土木一式工事が要件緩和となる業種


・とび・土工・コンクリート工事業

・しゅんせつ工事業

・水道施設工事業

次に建築一式工事業です。

建築一式工事に対応する専門工事の実務経験の要件緩和

◆建築一式工事が要件緩和となる業種


・大工工事業

・屋根工事業

・内装仕上工事業

・ガラス工事業

・防水工事業

・熱絶縁工事業

申請業種と一式工事の実務経験を合算して12年以上の実務経験があれば専任技術者の要件をみたします。

アイコン-チェック・9つの業種に限り実務経験の緩和要件がある
・申請業種の8年以上の実務経験+対応する一式工事の4年以上の実務経験
・合算して最低でも12年の実務経験は必要
・一式工事の専任技術者になるための実務経験は振替えられない

実務経験の要件緩和の公式

上で軽く触れましたが実務経験の要件緩和の公式は次のようになります。

◆専任技術者の緩和要件の公式


・申請業種の実務経験が8年以上+一式工事業の実務経験年数⇒12年以上

注意点

一式工事の実務経験を申請業種の実務経験と合算することを振替といいます。

注意点としては一式工事の実務経験は専門工事の実務経験に振替えられますが、逆は出来ません。

例を出します。土木一式工事を申請したいが実務経験が8年しかない。しかし水道施設工事の実務経験は4年ある。この条件では土木一式工事の専任技術者要件は満たせていません。

あくまでも一式工事の実務経験を専門工事の実務経験に振替えることのみ認められています。

専門工事同士での実務経験の振替も認められる?

原則認められていません。

しかし例外で一つだけ認められていますあ。

専門工事同士の実務経験の振替えも唯一1種類だけ認められています。

それが大工工事と内装仕上工事です。

要件緩和の公式は次の通りです。

申請する業種の実務経験を8年以上+申請しない方の実務経験年数⇒12年以上

大工工事と内装仕上工事は相関性が高く、技術的な共通性が高いため要件緩和が認められているようです。

仮に大工工事と内装仕上工事、両方の許可を取得したい場合は各々8年間以上の実務経験があれば良いとされています。

つまり16年間で2つの業種の専任技術者になれます。

いずれにせよ、許可を取りたい方の業種は8年以上の実務経験が必要なんだとご認識ください。

アイコン-チェック・9つの業種に限り実務経験の緩和要件がある
・申請業種の8年以上の実務経験+対応する一式工事の4年以上の実務経験
・合算して最低でも12年の実務経験は必要
・一式工事の専任技術者になるための実務経験は振替えられない
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まとめ

要件緩和につきまとめました。

専任技術者の要件を実務経験だけで満たすには10年間必要です。例外的に9業種のみ一式工事業の実務経験との合算することで認められます。

申請業種が8年以上 、対応する一式工事業が4年以上あることが条件です。

緩和と書いていますが12年間の実務経験が必要であるということと、一式工事業の経験を証明することの難易度も考慮すると、実務上そんなに利用されているとは感じないというのが個人の実感としてあります。

もし一式工事業の許可を受けていた会社に4年間在籍していた者が決算変更届の工事経歴書で4年以上の実績が証明できる場合には活用してもいいかもしれません。