業種を選ぶ 建設業

この記事の結論と要約
建設業の許可の業種は全部で29種類あります。許可を取得するにあたりどの業種の許可が必要なのか判断しなくてはいけません。その判断に重要な概念として主たる工事があります。建設業法上、主たる工事の許可を取得することが求められているからです。主たる工事とは別に附帯工事がありますが、これは許可を取るまでは求められていません。

これから許可を取得したいと考えている事業所さんは、自社はどの業種の許可を取得すればいいのだろうかと悩まれている方はいませんか。

特に自社で施工している工事は複数の業種の技術が必要なので、どっちを取るべきなのか分からないと悩まれていませんか。

例えばエレベータを設置する工事を請負う場合、電気工事も関係してきます。この場合は機械器具設置工事業だけ取得すればいいのでしょうか。機械器具設置工事業だけでなく電気工事業も取るべきではないのでしょうか。

このように一つの工事が複数の業種が混ざり合って構成されている場合には、どういった観点で取得すべき業種を判断すればいいのでしょうか。

答えは主たる工事に該当する業種が許可を取るべき業種になります。附帯工事に該当する業種の許可は必要ありません。

上記例で言うと、一般的にはエレベータの設置工事が主たる工事に該当するので機械器具設置工事業が必要です。また電気工事業は附帯工事になるので許可は必要ありません。

上に書いた例は一般的な工事ですが、複数の業種が混ざった特殊な工事だと主たる工事を判断することは難しいです。

では主たる工事の判断が難しい場合にはどのような方法を用いて業種を明確にするのでしょうか。

この記事を読むこと建設業の業種を選ぶ際の主たる工事の判断基準を知ることが出来ます

主たる工事の判断方法

主たる工事を判断するにあたって重要な点は次の3つです。

◆建設業業種を選ぶ際の3つのポイント

①契約書に記載されている工事名

②発注者が目的とする工事業種

③請負金額が占める割合

1つずつ確認しましょう。

契約書に記載されている工事名

1つめは契約書に記載されている工事名で判断します。

許可を申請する際には今まで施工してきた工事の請求書や契約書を審査に出すケースが多いです。

審査機関がまず見る箇所は契約書等に記載されている工事名です。

それが国土交通省の例示に記載されている工事名通りであれば、それに該当する業種が主たる工事に該当すると判断されます。

これが国土交通省の告示にある建設工事の例示です。

リンクが切れている場合には、お手数ですが「建設工事 例示 国土交通省」等と検索されてください。

ここの工事の例示と自社の請求書に記載されている工事名が一致していれば、業種の判断という観点では審査上大きな問題は生じないことが一般的です。

しかし工事名が一致さえしていれば絶対に大丈夫というわけではありません。

ケーススタディ

例えば電気工事を取得したいとします。

電気工事の例示は以下のようにあります。

もし自社の契約書に○○発電設備工事と記載されていれば、基本的には自社が施工した工事の業種は電気工事業であると推定されます。

しかしよくよく契約書を読んで見ると、どうやら屋根に取り付ける一体型のパネル設置工事のことを○○発電設備工事と記載していたとします。

その場合には、電気工事業ではなく屋根工事業の許可が必要になります。

これは極端な例ですが、工事名さえあっていればいいというわけではありません。

最終的には工事内容で判断されることもありますのでご注意ください。

例示に該当する工事がない場合は?

契約書等の工事名が例示にない場合はどのように判断するのでしょうか。

その場合は工事の中身で判断します。

工程表や契約書、設計図等を審査窓口に持っていき、主たる工事の判断を仰ぐことが一般的です。

発注者の工事の目的

2つ目は発注者がどういう目的を持って工事を発注しているかで判断します。

建設業法の大きな目的は発注者の保護です。

発注者が実現して欲しいことを実現するために建設業者は工事を請負います。なので発注者が工事を出す目的は何かを言語化しましょう。

その目的を果たすために必要な技術や施工管理が自ずと決まっていくはずです。

その発注者が目的とすることが例示の工事名に一致すればそれ以上は書類を求められないこともありますが、そうでない場合は書類上で発注者の目的を言語化したことを証明する資料を揃えることで業種を判断します。

請負金額が占める割合

3つ目は請負金額が占める割合です。

これも一般論ですが主たる工事と附帯工事では主たる工事に該当する部分の方が請負金額全体に占める割合は大きくなります

工事の見積書や工程表等と照らし合わせて金額の内訳比で確認しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

建設業許可は全部で29業種あり、自社が必要とする適切な業種の許可を取得する必要があります。

それを判断するためには自社が今までどういった工事を施工していたのか。

今後、500万円以上の工事を請負う予定の工事はどんな工事なのか。

これらを考慮し29種類の中から最も適切なものを選び許可を取得します。

そのためには主たる工事を明確化しなくてはいけないということでしたね。

明確化するための方法としては次の3通りです。

◆建設業業種を選ぶ際の3つのポイント

①契約書に記載されている工事名

②発注者が目的とする工事業種

③請負金額が占める割合

附帯工事の許可は必要ありませんでしたね。

もちろん上記のやり方で主たる工事が一つに絞れなかった場合には、その数だけ事業の必要な許可業種は増えます。

最近は技術が進歩して特殊な工事が行われるようになり、手引きに載ってないような工事も見受けられます。

そんな時は上記3つの判断方法を用いて、どの業種に該当するのか目星をつけて申請書をご作成ください。

以上です。