この記事の結論と要約
建設業の許可要件の1つである欠格要件についてまとめてあります。法人の場合、代表取締はもちろん役員や支店の代表者も欠格要件に該当してはいけません。暴力団の排除は特に徹底されています。ご自身が役員であれば欠格要件に該当しないか確認しましょう。

建設業の許可を取得するためには許可要件を満たさなくてはいけません。

許可要件は全部で6つあり、そのうちの1つに欠格要件があります。

許可要件の対象者は原則、経営者です。

あなたがもし許可を取得しようとする経営者で欠格要件に抵触するのであれば許可は取得出来ません

役員以外にも対象者がいるので確認しましょう 。

この記事では建設業法上の欠格要件につき具体的に確認することが出来ます。

欠格要件とは

欠格要件とは許可申請者が一般的にその業種の許可を取得するのに能力や人格が適切であるかを判断する基準のことです。

平たく言えば、昔悪いことをしていなかったかどうかといことです。

欠格要件に該当すれば許可を与えてはならないとあります。

詳しく確認しましょう。

欠格要件の対象者

欠格要件の対象者は経営者と書きました。

この経営者というのは代表取締役といった代表者だけではありません。平の取締役や令3条の使用人といっ支店長も対象者です。

具体的な欠格要件の対象者は次の通りです。

◆欠格要件の該当対象者【以下、役員等】


・取締役、執行役、社員、 その他取締役等と同等以上の支配力を有する者(役員等)

・個人事業主

・個人事業主支配人

・令3条使用人(支店長・営業所長など)

上記枠内の者が欠格要件に大きく関係します。欠格要件に該当する許可は受けられません。

また欠格要件の中には役員といった名称にかかわらず、役員同等の支配力を有する者も含まれます。

詳しくは建設業法の欠格要件に該当する役員等の定義。許可は取消?でご確認ください。

欠格要件を具体的に確認する

欠格要件は建設業法8条に記載され、虚偽申請及び具体的な事由が14個(1号から14号)書かれています。

役員等が次のいずれか1つにでも該当すれば許可は取得できません。

◆14個の欠格要件一覧


・ 許可申請書や添付書類中の重要な項目について、虚偽の記載があったとき、重要な事実を記載しなかった時(8条)

・ 破産手続きの開始を受けて復権を得ない者 (8条 ①号)

・ 不正の手段により許可を受けたこと、その許可を取り消されてから5年を経過しない者(8条 ②号)

・ ②号に該当するとして聴聞の通知を受け取った後に、許可の取消を免れるために廃業届を提出した場合、届出から5年を経過しない者  (8条 ③号④号)

・ 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした時、又は請負契約に関し不誠実な行為をしたことなどにより営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者 (8条 ⑤号)

・ 許可を受けようとする建設業について営業禁止され、その禁止の期間が経過しない者 (8条 ⑥号) 

・ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 (8条 ⑦号)

・ 建設業法、建築基準法、など一定の法令の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 (8条⑧号)

・ 暴力団員による不当な行為の防止に関する法律2条6号に規定する暴力団員、又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 (8条 ⑨号)

・ 心身の故障により建設業を適正に営むことが出来ない者 (8条⑩号)

・ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記のいずれかに該当するもの(8条 11号)

・ 暴力団員等に事業活動を支配されている者(8条 14号)

以上が欠格要件の具体的な項目です。

12号と13号がここに書かれていない理由は欠格要件の対象者を役員等と記載しているだけだからです。つまり役員等が該当してはいけない欠格要件

役員等が1号から4号又は6号から10号までのいずれかに該当すれば許可を与えてはならないと書かれています

あとは気になる点としては、⑦号⑧号にある刑を受けることがなくなった日から5年という表現でしょうか。これは執行猶予を意味しているわけではありません。

例えば懲役刑の刑期中に仮出所をした者が、保護観察下のまま刑期を刑務所の外で終えた場合を意味します。仮出所中に刑期を満了した日から5年間は許可が取れないということです。

破産者で復権を得ない者とは、自己破産の申し立てをしたが免責されていない人のです。過去に自己破産の経験があるから許可が下りないということではありません。

役員等が対象となる欠格要件

欠格要件は全部で14個書かれています。

実はこの14個全部が役員等を対象者とするわけではありません。

12号と13号には欠格要件の対象者を役員等と記載し、具体的には次のものに該当してはいけないと列挙しています。

役員等が該当すると許可が取れないものは次の通りです

◆役員等が該当すると許可が取れないもの


・ 破産手続きの開始を受けて復権を得ない者 (8条 ①号)

・ 不正の手段により許可を受けたこと、その許可を取り消されてから5年を経過しない者(8条 ②号)

・ ②号に該当するとして聴聞の通知を受け取った後に、許可の取消を免れるために廃業届を提出した場合、届出から5年を経過しない者  (8条 ③号④号)

・ 許可を受けようとする建設業について営業禁止され、その禁止の期間が経過しない者 (8条 ⑥号) 

・ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 (8条 ⑦号)

・ 建設業法、建築基準法、など一定の法令の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 (8条⑧号)

・ 暴力団員による不当な行為の防止に関する法律2条6号に規定する暴力団員、又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 (8条 ⑨号)

・ 心身の故障により建設業を適正に営むことが出来ない者 (8条⑩号)

・ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記のいずれかに該当するもの(8条 11号)

ここに書いていない項目は役員等というより法人や株主などが対象です。

ペナルティ以前から就任している役員等も5年は許可取れないのか

役員等が複数人いる会社のうちの誰か一人が欠格要件に該当し、建設業許可を取り消された場合に他の取締役も同様にペナルティを受けるのでしょうか。

これに関しては8条の12号及び13号に次のように書かれています。

第2号に該当する者(不正の手段によって許可を得た会社)許可を取り消される以前からの役員等、

第3号又は4号(許可の取消処分を受ける前に廃業届を出す会社)に該当する者は廃業届を出す以前から役員等

第6号(営業停止処分中)に該当する者は営業を停止される以前からの役員等

これらは欠格要件の対象者から除くと書かれています。

つまり欠格要件に該当する日以前から役員等であったも場合には、それをもって直ちに許可の取消又は許可の拒否自由とすることはないと読み取れます。

つまり向こう5年間許可を取れない者は、欠格要件の対象者とそれ以後に役員等についた者だということです。

これが実務上、どのような取り扱いになるかは分かりませんが、この欠格要件の対象から外れる者で許可を維持ないしは取り直すことは十分に検討の余地はあるといえそうです。

更新申請時は欠格要件が緩くなる?

建設業法8条の括弧書きに次のような記載があります。

許可の更新を受けようとする者にあっては第1号又は第7号から14号までのいずれか(が欠格要件に該当する)

つまり、許可の更新時には2号から6号までのいずれかに該当しても許可の拒否事由には当たらないということです。

これは建設業許可は業種ごとに与えられるもので、許可の取消を受けていない業種に関してまで更新を認めないわけではないという意味だそうです。

アイコン-チェック・欠格要件の対象者は原則、役員等
・許可取消以前からの役員は向こう5年許可が取れない者の対象外となる可能性がある
・欠格要件は14個ある
・更新申請は欠格要件が減る

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まとめ

欠格要件につきまとめました。

長くなりましたが、役員等は

①法に触れるようなことはしない

②行政処分を受けない

③暴力団とは関わらない

この3つを普段から心がければいいということです。

なぜなら法令違反による禁錮刑、特定法令違反における罰金刑以上、暴力団関連は一発アウトです

条文で言えば7号8号9号に該当しますが、この号には共通して向こう5年間は欠格要件に該当する、つまり5年間は許可を与えないとあります。これは該当者でない他の役員もペナルティを同様に受ける可能性があるということです。

とはえいこの向こう5年は許可が取れないという取り扱いは相当悪質でない限りは該当しないようです。処分基準等に照らし合わせて自治体が判断することが一般的です。

絶対に5年許可が取れないというわけではありませんが、役員等に該当する方はご注意ください。

もし欠格要件に該当して許可を取り消されそうとなった場合にはまず専門家に相談することをお勧めします。