建設業許可 なぜ必要

この記事の結論と要約
建設業許可という制度に関して疑問を持ったことはありませんか。許可が必要なんだと受け入れることは何ら悪いことではないですが、制度の目的を知ることでより深く受け入れてるのことが出来るのではないでしょうか。建設業許可がなぜ必要か制度の背景についてまとめています。

この記事を読んでいる人は建設業の許可を取得を考えている、もしくは理由があって許可を取らなくてはいけなくなった方ではないでしょうか。

それと同時にこんなことを考えていないでしょうか。

「今まで建設業の許可を取らなくても工事は出来ていた。法律もしっかり守って工事をしている。なぜいまさら国から許可をもらわなくてはいけないんだ。」

確かに許可がなくても施工出来る工事はありますし、しっかり工事をしていた事業所にとっては手続きが増える分面倒くさいですよね。

しかし建設業法では税込500万円以上の工事を施工するためには許可が必要と定められています。

無許可で工事をすると500万円以上の工事を施工すると建設業法違反になります。

罰則も一番重たい処分です。詳しくはこちらの『建設業法違反の罰則|これをしたら罰金、懲役、過料のまとめ』をご覧ください。

もし無許可状態で過去に税込500万円以上の工事を請けてこれから許可を取得したい方は無許可で500万円以上の請負工事をしていても許可は取れる?で何をするべきか確認出来ますのでご確認ください。

話を戻します。

請負金額が大きい工事を施工するためには許可は必ず取らなくてはいけません。

どうせ許可を取らなくていけないのであれば「なぜ建設業の許可が必要なのか」という許可制度の目的を知っておきましょう。

この記事を読むことで建設業の許可制度の目的を知ることが出来ます

建設業法の目的

建設業の許可制度は建設業法により定められています。

建設業法の目的には次の2つが書かれています。

建設業法の主な2つの目的


1、適性な建設工事の確保

2、発注者の保護

適正な建設工事の確保と発注者の保護が目的

建設業の許可要件は大きく分けると次の4つです。

・建設業の経営のプロがいる

・工事を業種に分類して、それぞれに合った能力の高い技術者がいる

・すぐに倒産しない資本がある

・経営者の素行に問題がない

この4つの要件をクリアーしている事業所だと国がお墨付きを与えるのが許可制度です。

許可要件につき詳しく知りたい方は建設業許可を初めて取る!申請までにすべきこと、流れを徹底解説!にてご確認ください。

建設業の特性

建設業の特性として、契約者(特に一般消費者)は専門的な欠陥があっても分からないと可能性があるという点が挙げられます。

建物が傾いているレベルでは分かりますが、各種法令に違反する基準等、普通は分かりません。

かつ取引金額が大きいです。

一般消費者は専門的な知識がないものに大きな金額を支払うわけです。

となると法的な規制で施工者に義務や基準を課さないと消費者があまりにも不利だと一般的には言えます。よって建設業の許可制度では様々な基準を課すわけです。

消費者を保護する規定として代表的なものが瑕疵担保責任です。

工事を請負、建築物を引渡しても完成後も何年かは事業所は製造責任を持ちます(瑕疵担保責任)。また事業所間でも適当な工事を施工させないために建設業は請負契約が主な契約スタイルです。

以上を踏まえると建物が出来て何年後かに倒産してしまうような技術力も資金力もない会社に受注金額の高い工事を施工させることは避けたいことだというのは言うまでもなくありません

これらを防ぐために許可制度があります

経営のプロがいて、技術者のレベルも高くて、経営陣の素行も問題なくて、すぐ倒産しないくらいの資本がある会社が受注金額の高い工事を施工した方が発注者の保護に結びつきます。

それらを要件として定め、確かにクリアーしている事業所であることの国のお墨付きが許可です。

建設業は国にとって重要な産業であることに異論はないでしょう。

重要な産業であるからこそ国は建設業者に許可制度というハードルを課して介入してくるわけです。

まとめ

建設業許可を受けた建設業者は国が課す基準をクリアーした建設業者と言えます。

技術的に優れている人がいる、経営能力のある経営者がいる、財政的にしっかりしている、経営陣の素行に大きな問題がないことが許可の要件だからで。

許可を受けると会社は社会的な信用度が上がり銀行の融資も通りやすいと言われています。

中には許可はなくても、高い技術力を有し安全に施工し発注者の保護にも最新の注意を払っている方もいらっしゃるでしょう。許可がないことで大きな工事を請け負えないことに納得いかない方もいるかもしれません。

建設業法では発注者の保護、適切な施工を確保することが目的なので、これら目的を一律に実現するための合理的な制度として建設業者に対する許可制度が採用されています。

制度の目的を知ることで許可制度を前向きに捉えていただけたら幸いです。