この記事の結論と要約
許可業種の1つである機械器具設置工事業の専任技術者要件をまとめています。機械器具設置工事業の許可を取得する場合は資格、該当する請負工事の一定以上の実務経験、卒業学科などを確認してください。

建設業許可の工事の種類は全部で29種類あります。

それぞれの業種で専任技術者になるための条件が異なります。

この記事では機械器具設置工事業の専任技術者になるための条件をまとめました

まず許可を申請するにあたり注意する点は、現在自社で施工している工事が建設業法上でも機械器具設置工事業と判断されているかどうかという点です。

もし実務と法律上で一致していなければ許可を取得しても500万円以上の工事を請け負えません。

また専任技術者の実務経験も同様に認められません。

そうならないためにも自社が取得すべき業種を今一度確認しましょう。

判断方法については『建設業許可|取得すべき業種の判断方法。主たる工事とは』でご確認ください。

この記事を読むことで機械器具設置工事業の実務経験としてカウント出来る工事や、技術者要件を満たす資格や学科を知ることが出来ます

なお自社で施工した機械器具設置工事業の実務経験を利用して専任技術者を申請する事業所の方は『自社の実務経験で機械器具設置工事業を取るための必須知識!』で詳しく説明しております。

機械器具設置工事業に該当する工事

機械器具設置工事は次のような内容の工事が該当します。

◆機械器具設置工事の内容


機械の組み立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取り付ける工事

代表的な工事名の例を確認しましょう。

該当する工事の例示

許可を取ろうとする業種が機械器具設置工事業に該当するかを工事名と工事内容で確認されます。

◆機械器具設置工事業に該当する工事例


・プラント設備工事

・運搬機器設置工事

・昇降機設置工事

・内燃力発電設備工事

・集塵機器設置工事

・トンネル・地下道等の給排気機器設置工事

・揚排水機器設置工事

・舞台装備設置工事

・サイロ設置工事

・立体駐車場設備工事

以上が機械器具設置工事業の代表的な工事になります。

機械器具設置工事の考え方

『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものがあります。

これらは原則、電気工事等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当します。

機械器具設置工事業かそれ以外の工事になるか具体例

・「給排気機器設置工事」とはトンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事であり、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は『機械器具設置工事』ではなく『管工事』に該当する

・公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく、それぞれの公害防止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば『管工事』、集塵設備であれば『機械器具設置工事』等に区分される。

これらは機械を組み立てる工事という意味では一致してますが、他の業種の専門的知識が必要な工事なので機械器具設置工事ではない許可が必要ということです。

専任技術者になるための要件の概要

営業所ごとに常勤の技術者を配置することが許可の要件です。

専任技術者について一般的な概要はこちらからご覧ください。

建設業許可の専任技術者になるための要件は?

建設業の許可要件である営業所における技術者の専任性とは

建設業許可の主任技術者とは?専任技術者との違いや役割

専任技術者には各業種の技術的な要件が求められます。

技術的な要件は次の①〜③のいずれかに該当することです。

■専任技術者の技術的要件■


①国家資格・検定を持っている

②許可を取得する同業種の請負工事を常勤として10年以上働いた実務経験

③指定学科卒業後に一定以上の実務経験

※ 特定建設業を取得する場合、別途条件あり⇒特定の許可取る事業所必見!7つの指定建設業の注意点

機械器具設置工事業の技術的要件を確認しましょう。

機械器具設置工事業の専任技術者の資格

一般か特定かいずれかの許可を取得するかで技術者の要件は異なります。

一般と特定の違いについては『一般建設業と特定建設業の許可の違い。どっちをとればいい?』でご確認ください。

ざっくり言うと発注者から直接工事を請け負うことがなければ一般建設業の許可が必要とお考え下さい。

一般の機械器具設置工事業の専任技術者の資格要件

◆一般建設業の専任技術者の資格要件


なし

機械器具設置工事業の一般建設業の専任技術者になるための資格はありません。(特定として認められる資格と同一です。)

特定の機械器具設置工事業の専任技術者の資格要件

機械器具設置工事業の特定建設業の専任技術者になるための資格は次の通りです。

◆特定建設業の専任技術者要件


・技術士試験 機械・総合技術管理(機械)

・技術士試験 機械「流体工学」又は「熱工学」・総合技術管理(機械「流体工学」又は「熱工学」)

※ 特定建設業の資格要件を満たせれば、一般建設業の技術者になれる。

実務経験で機械器具設置工事業の専任技術者になる

実務経験で機械器具設置工事業の専任技術者になるためには原則10年以上の経験が必要です。

ただし高校、専門学校、大学で特定の学科を卒業していれば10年より短い期間でも専任技術者になれます

具体的な実務経験年数は次の通りです。

・大学または高専の指定学科 ⇒ 卒業後3年以上の実務経験

・高等学校の指定学科    ⇒ 卒業後5年以上の実務経験

証明する方法は工事名や工事内容が確認出来る発注書や契約書を必要期間分用意します。

なので昔の請求書や通帳が必要です。

代表的な学科

機械器具設置工事業で認められる特定の学科とは何学科でしょうか。

機械器具設置工事業は機械工学、電気工学又は建築学に関する学科を卒業すれば、要求される実務経験期間が短縮されます。

下の枠内で確認しましょう。

◆機械器具設置工事業に該当する学科

・学科名に関係なく機械(工学)コース

・造船科

・船舶科

・精密科

・自動車科

・航空科

・機械科

・システム科

・電力科

・電子科

・電気科

・制御科

・通信科

・情報科

・造形科

・建築科

・住居科

許可の取得をお考えの事業所は技術者の卒業学科を確認しましょう。

もし枠内の学科、もしくは名前が似た学科を卒業していれば実務経験期間が短縮される可能性があります。

実務経験で特定建設業の要件を満たしたい!

実務経験で一般建設業の技術者になる場合、機械器具設置工事を請負った経験が10年以上必要でしたね。

工事名や工事内容が確認出来る発注書や契約書などで期間分の経験を証明します。

では機械器具設置工事業の特定の専任技術者には実務経験でなれるのでしょうか。

機械器具設置工事業は実務経験でも特定建設業の専任技術者になれます

特定建設業の専任技術者要件を実務経験のみで満たす場合、

次の3つの条件を満たす請負工事の実務経験が2年以上必要になります。

◆実務経験で特定建設業の専任技術者になるための請負工事の条件


①請負金額が4500万円以上

②発注者から直接請け負った工事

③指導監督的な立場で指揮をとる

この3つの条件を満たす実務経験のことを指導監督的実務経験と言います。

具体的には建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で技術面を総合的に指導した経験です。

まとめると実務経験で特定建設業の専任技術者になるための要件は次の通りです。

◆特定の許可を実務経験で取得する場合の必要要件


一般建設業の技術者の要件を満たす+上記3つの条件を満たした2年以上の工事経験

一般の専任技術者に実務経験のみでなる場合、10年以上の実務経験が必要です。

10年以上実務経験をつんだ後に、上の①~③の条件を満たす指導監督的な経験を2年以上積めば特定建設業の専任技術者として認められます。

指導監督的な請負工事経験は請負契約書で証明します。4,500万円以上の工事を請け負う場合は、必ず請負契約書を結びましょう。

監理技術者で特定の専任技術者になる

特定の専任技術者になるためには監理技術者証の発行を受けることでも出来ます。

特筆すべき点は、建設業課などに提出する書類よりは求められる書類が少ないことです。

過去の実務経験証明書類が準備できずに許可が取れない場合は、監理技術者の申請を検討しましょう。

まとめ、注意点

機械器具設置工事業の専任技術者の要件は以上です。

機械器具設置工事業は資格でなる場合、技術士試験しか認められておらず難易度は高いと言えます。指定学科卒業後の実務経験で専任技術者になる人が多い印象があります。

専任技術者候補の卒業学科と前職の実務経験を確認しましょう。

またそれぞれの専門工事で設置組み立てると決められている機械器具設置の請負工事は、機械器具設置工事業に該当しません。それぞれの専門工事の許可が必要になります。

特定の許可を取得したい場合は監理技術者証の発行を検討されてください。