主任技術者とは建設業法上、工事現場に配置することが義務付けられている技術者のことを言います。原則、主任技術者と専任技術者は同一人物では認められません。両者の違いは現場に配置義務がある技術者か営業所への専任義務がある技術者かです。
※令和7年2月から特定建設業の下請代金の限度額&工事の専任制が生じる金額が変更されました。詳しくは「令和7年2月法改正!】主任技術者の専任制の金額&特定許可の下請上限額が変更します」を御覧ください。
主任技術者とは建設業法上、工事現場に配置することが義務付けられている技術者です。
専任技術者と似たようなものだと思う方もいるかもしれませんが異なります。
まず原則的に専任技術者は主任技術者にはなれません。
なぜなら専任技術者は営業所に常駐することが義務付けられているからです。工事現場に配置する技術者にはなれません。
それぞれ役割や求められていることが異なりますのでご注意ください。
この記事を読むことで主任技術者の定義と専任技術者との相違点、その役割を知ることができます。
Contents
主任技術者とは?
建設業の許可を受けている建設業者は元請・下請を問わず請負った工事を施工する際には工事現場に技術上の管理が出来る者を配置しなくてはいけません。
その技術上の管理が出来る者を主任技術者と呼びます。
具体的には主任技術者の職務は次のようなものが挙げられます。
・施工計画を作成し工程管理、工事目的物、工事用資材などの品質管理
・工事の施工に伴う災害の発生を防止するための安全管理
まとめると
建設業許可業者は自社の請負工事現場ごとに安全かつ適切に施工をするために主任技術者を配置する義務がある。
ということです。
専任技術者との違い
それでは主任技術者と専任技術者の違いを確認しましょう。
専任技術者は営業所にいる請負契約の責任者です。営業所に常駐し許可を受けた建設工事の専門知識を有し、技術的な観点から適正な請負工事の締結、見積、入札をする責任者的な役割を期待されています。
営業所に専任義務があるので工事現場には基本的には配置出来ません。
主任技術者と専任技術者とでは役割が違うこと、ご理解いただけましたでしょうか。
主任技術者になるための実務経験や資格
主任技術者はどんな人でもなれるわけではありません。主任技術者になるためには一定の実務経験と資格が必要です。
主任技術者になるための要件は一般建設業の専任技術者の要件と同じです。
取得した業種に対応する専任技術者同等の能力を有するものを工事現場に配置しましょう。
・主任技術者≠専任技術者
・許可を取得したら請負金額に関係なく工事現場に配置義務あり
・主任技術者と認められる人は専任技術者と同等能力が必要
主任技術者になれる者が自社にいるかチェックしたい方はこちらの『建設業の許可の専任技術者になるための要件は?』をご覧ください。
専任技術者が一人しかいない事業所は?
主任技術者と専任技術者が同一人物では原則認められないことは確認出来ました。
それでは建設業許可を受けた1人親方はどうなのでしょうか。
もし専任技術者と主任技術者を絶対に別人にしなといけないのであれば工事が出来ません。
その場合は例外的に営業所と現場が近く常時連絡が取れる体制であれば良いとされています。
ただし施工金額が一定以上になると例外は適用されません。
詳しくは次の記事にてご確認ください。
主任技術者、監理技術者の専任性が生じる具体的請負金額は?【令和5年改正】
主任技術者を必ず常駐配置しなければならない工事とは
主任技術者は工事現場ごとに配置しなくてはいけませんが、一定の条件下では工事現場を兼任しても差し支えないと言われています。
その条件は次の2つです。
①工事の請負金額が税込4.500万円未満であること (令和7年2月から改正)
②工事現場が近接していること
詳しくは下記リンクからご確認ください。
工事現場の専任性
主任技術者は複数の工事現場を同時に管理すること(兼任)は認められています。
しかし兼任を認められないケースがあります。
そのことを工事現場の専任性があると言います。
専任性が生じる工事は次の現場です。
公共性のある施設または多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な建設工事でかつ請負金額が4,500万円(建築一式工事なら9,000万円)以上の現場
公共性のある施設とは、鉄道、ダム、飛行場、工場、学校などがあげられ、個人住宅を除き民間工事を含むほとんどの工事が対象になります。
これらの工事現場には原則的に専任の主任技術者を常時配置させなくてはいけません。
例外として専任性がある工事現場と専任性がない工事現場が近接していて、工作物同士に一体性が認められる場合には同一の主任技術者ならば兼任出来るとされています。
注意点
専任技術者は営業所に常駐義務があります。
となると現場に専任性が求められる工事の主任技術者にはなることが出来ません。
つまり一人親方で4,500万円以上の工事を請け負うことは原則出来ないと言えます。
また建設業許可業者で大きな工事を同時に複数請け負う場合は主任技術者の専任性、専任技術者との兼務が可能な現場かどうかもご注意ください。
ただし主任技術者は兼務が可能ですし、専任制があるといっても必ずしも工事現場に常駐しないといけないわけではありません。
詳しくは 主任技術者と監理技術者に関する専任制と常駐性の違い にてご確認ください。
・公共性の高い工事で4,500万円以上の工事は現場に専任義務が生じる
・専任性が生じる場合、主任技術者と専任技術者は兼任出来ない
・法律上、兼任現場は何個までという決まりはない
まとめ
いかがでしたでしょうか。
専任技術者と主任技術者は異なることをご理解いただけてましたでしょうか。
工事現場毎に専任技術者と別に許可業種の専任技術者相当の能力を有する主任技術者の配置が原則必要です。
ただし4,500万円未満で工事現場が近接していて相互性の強い工事であれば主任技術者は複数現場管理し兼務ができます。
また混同しやすいのですが現場代理人です。
現場代理人とは現場において請負人の任務を代行する者で、工事現場に常駐して契約関係事務に関する一切の事項を処理する役割を果たします。現場代理人を配置する場合は、その権限などについて発注者に通知することが義務づけられています。
現場代理人についてはこちらの『現場代理人とは?主任技術者との違いやその役割』をご覧ください。