この記事の結論と要約
許可業種の1つである菅工事業の専任技術者要件をまとめています。菅工事業の許可を取得したい場合は文中の資格、一定以上の実務経験、指定学科に該当するか確認してください。工事の種類によっては、菅工事のようであっても水道施設工事と土木一式工事の可能性もあります。

建設業許可の工事の種類は全部で29種類あります。

それぞれの業種で専任技術者になるための条件が異なります。

1番注意することとして、取得予定の業種と実際に施工している工事が建設業法上で一致しているかという点です。

一致してしないと許可を取得しても500万円以上の工事を請け負えません。また実務経験で専任技術者の要件を満たす場合、取得したい業種の許可が取れません。

この記事を読むことで管工事業の実務経験としてカウント出来る工事や、技術者要件を満たす資格や学科を知ることが出来ます

管工事業に該当する工事

◆管工事の内容


冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事

該当する工事の例示

許可を取ろうとする工事の種類が菅工事に該当するかを工事名と工事内容で確認されます。

◆菅工事に該当する工事例


・冷暖房設備工事

・冷凍冷蔵設備工事

・空気調和設備工事

・給排水・給湯設備工事

・厨房設備工事

・衛生設備工事

・浄化槽工事

・水洗便所設備工事

・ガス配管工事

・ダクト工事

・管内構成工事

以上が菅工事業の代表的な工事になります。

該当する工事の注意点

・冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事には冷媒の配管工事などフロン類の漏洩を防止する工事が含まれる。

・し尿処理に関する施設の建設工事における菅工事、水道施設工事及び清掃施設間の考え方は次の通り。

菅工事・・・浄化槽によりし尿を処理する施設の建設工事

水道施設工事・・・公共団体が設置するもので下水道により収集された汚水を処理する施設の建設工事

清掃施設工事・・・公共団体が設置するもので汲取方式により収集されたし尿処理を施設の建設工事

・機械器具の設置工事には広く全ての工事が該当するが、機械の種類によっては菅工事に該当する。

・建築物の中に設置される空調機器の設置工事は菅工事。トンネル、地下水などの給排気用に設置される機会器具に関する工事は機会器具設置工事。

・上下水道に関する施設の建設工事における土木一式工事、菅工事及び水道施設工事間の考え方は次の通り。

土木一式工事・・・公道下道の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事。農業用、灌漑用排水施設等の建設工事

菅工事・・・家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道などの配水小管を設置する工事

水道施設工事・・・上水道などの取水、浄水、排水などの施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事

・公害防止施設を設置する工事についてはそれぞれの公害防止施設ごとに工事が異なる。排水処理施設であれば菅工事に該当する。

専任技術者になるための要件の概要

営業所ごとに常勤の専任技術者がいることが許可の要件です。

専任技術者について一般的な概要はこちらからご覧ください。

専任技術者には各業種の技術的な要件が求められます。

技術的な要件は次のいずれかに該当することです。

■専任技術者の技術的要件■

①国家資格・検定を持っている

②許可を取得する同業種の請負工事を常勤として10年以上働いた実務経験

③指定学科卒業後に一定以上の実務経験

④大臣同等認定

※ ②と③は一般建設業の専任技術者になるための要件です。

※ 特定建設業の場合、②と③の条件に追加して元請として直接請け負った4500万円以上の工事の指導や監督をした実務経験が2年以上必要

菅工事業に該当する工事

菅工事は冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生などのための設備を設置しまたは金属製などの管を使って水、油、ガス、水蒸気などを送配するための設備を設置する工事です。

実務経験で専任技術者になる場合、一般建設業の場合、常勤で菅工事の請負工事をした経験が10年以上必要です。

菅工事に該当する工事を常勤として10年以上請け負った経験は発注書や契約書などで証明します

菅工事業の専任技術者の資格要件

一般か特定かいずれかの許可を取得するかで技術者の要件は異なります。

一般と特定の違いについては『一般建設業と特定建設業の許可の違い。どっちをとればいい?』でご確認ください。

ざっくり言うと発注者から直接工事を請け負うことがなければ一般建設業の許可が必要とお考え下さい。

一般建設業の菅工事業の専任技術者の要件

◆一般建設業の専任技術者要件


・2級菅工事施工管理技士

・給水装置工事主任技術者+実務経験1年以上

・建築板金「ダクト板金作業」

・冷凍空気調和機器施工・空気調和設備工事

・給排水衛生設備配管

・配管・配管工

・建築設備士+実務経験1年以上

・1級計装士+実務経験1年以上

菅工事業の一般建設業の専任技術者になるための資格は以上になります。

特定建設業の菅工事業の専任技術者の要件

菅工事業の特定建設業の専任技術者になるための資格は次の通りです。

◆特定建設業の専任技術者要件


・1級菅工事施工管理技士

・機械「流体工学」または「熱工学」・総合技術管理

・上下水道・総合技術管理

・上下水道「上下水道及び工業用水道」・総合技術管理

・衛生工学・総合技術管理

・衛生工学「水質管理」・総合技術管理

・衛生工学「廃棄物管理」・総合技術管理

※ 特定建設業の資格要件を満たせれば、一般建設業の技術者になれます。

※ 職業能力開発促進法が根拠となる技能検定は2級の場合、合格後に実務経験が3年以上必要です。

実務経験で特定建設業の要件を満たしたい!

菅工事の特定の許可を実務経験で取得することはできません。

菅工事は指定建設業に該当するので、必ず該当する一級の国家資格者等が必要です。

指定建設業に関しては『特定の許可取る事業所必見!7つの指定建設業の注意点』をご覧下さい。

菅工事業に該当する学科

実務経験は原則10年以上ですが卒業した学校により短くなる場合があります。

特定の学科を卒業すれば実務経験が10年未満でも専任技術者の要件を満たせます。具体的な実務経験年数は次の通りです

・大学または高専の指定学科⇒卒業後3年以上の実務経験

・高等学校の指定学科   ⇒卒業後5年以上の実務経験

※ 専門学校は該当しません。

代表的な学科

菅工事業は土木工学、建築学、機械工学、都市工学またが衛生工学に関する学科を卒業すれば実務経験が短縮されます。

◆菅工事業に該当する学科

・開発科

・海洋科

・環境科

・建設科(電気・電子科)

・建築計画科

・森林土木科

・造園科

・地質科

・農業開発科

・住居科

・都市科

・衛生科

・環境科

・設備科

・機械科

・航空科

・自動車科

・精密科

・船舶科

・造船科

・学科名に関係なく機械コース

などが挙げられます。

まとめ

菅工事業の専任技術者の要件は以上です。

菅工事の専任技術者は該当する資格が多いです。在職中に資格を取得させる手当を出して職員に取得させることもいいでしょう。

工事の種類としては、水道施設工事と土木一式工事との分別が紛らわしいです。分別がつかない場合は、工事の見積書や工程表を持って専門家か行政に相談しましょう。