許可を受けた業種の工事現場には原則的に技術者を配置しなくてはいけません。

その工事現場に配置する技術者のことを主任技術者、監理技術者と言います。(以下、配置技術者等))

原則、配置技術者等は一つの工事現場ごとに専任しなくてはいけません。

つまり1つの工事現場の配置技術者等になれば他の工事現場には別の配置技術者等の設置が必要です。

つまり複数の工事現場を同時期に請け負う場合は、配置技術者等として認められる技術者が複数人必要ということですね。

しかし、厳密にこのルールを課すと人材がそろわない事業者は複数工事を受注することが出来ません

なので必ず工事現場に技術者を配置しなくてはいけない請負金額を定め、その額を下回れば複数の工事現場を掛け持ち出来るという例外規定があります。

この記事を読むことで配置技術者等の工事現場における専任性のルールを知ることが出来ます。

主任技術者と監理技術者の違い

まず主任技術者と監理技術者の違いを確認しましょう。

監理技術者の定義は次の通りです。

◆監理技術者とは

特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事を下請に出した代金の総額が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上になる場合において配置義務が生じる技術者。

監理技術者は特定建設業の許可を持っている事業所に配置義務が課せられます。

当該建設工事に関する1級資格者等を有する者がなることができ、当該工事現場における建設工事の元請業者として施工の技術上の管理をつかさどる役割があります

大きな工事の技術上の現場責任者といえるでしょう。

次に主任技術者の定義です。

◆主任技術者とは


建設業者がその請け負つた建設工事を施工するときに、当該建設工事に関し専任技術者同等の有資格者や実務経験者に該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる技術者

主任技術者は許可を取った業種の工事を施工する場合に必ず現場に配置する技術者をいいます。

許可を取る前は500万円未満の工事は主任技術者がいなくても施工できましたが、許可取得後は金額にかかわらず主任技術者を配置しなくてはいけません。

以上が主任技術者と監理技術者の違いです。

工事現場の専任義務の基準

監理技術者等は一つの工事現場に専任でなくてはいけません。

しかし、一定の請負金額以下かつ距離や相互関連性が高い工事現場であれば複数の工事現場の主任技術者になることが認められています。

その基準は4,000万円です。

4,000万円以上の工事現場であれば元請下請関係なく、技術者に専任義務が生じます

上に書いた4,500万円と混同しやすいですが、4,500万円はあくまでも元請業者が下請けに出す金額の基準です。

元請業者が4,500万円以上下請けに出せば監理技術者の配置義務が生じるということですね。

簡単に言うと4,000万円以上の工事現場の主任技術者になれば他の現場の主任技術者になれないということです。

つまり次のように表せられます。

①元請工事における下請金額が4,500万円以上の請負工事
➡専任の管理技術者の配置義務あり

②元請工事における下請金額が4,000万円以上4,500万円未満の請負工事
➡専任の主任技術者の配置義務あり

③元請下請け関係なく4,000万円以上の請負工事
➡専任の主任技術者の配置義務あり

④元請下請け関係なく4,000万円未満の請負工事
➡専任でなくてもよい主任技術者の配置義務あり(掛け持ち兼務が可能)

4,000万円以上の請負工事には配置技術者を専任で配置しなくてはいけません。

これは元請下請け関係なく共通のルールです。

また複数の現場の主任技術者になることができるのは主任技術者に限ります。

監理技術者が複数の工事現場を同時に担当することは出来ません。出来ませんでしたが、法改正により特例監理技術者となれば2現場まで可能となりました。詳しくはこちらの記事にてご確認下さい。

配置技術者の注意点

配置技術者は工事現場をの安全や完成物の担保に非常に大きな役割を持ちます。

配置する際にはいくつかの注意点があげられます。

雇用関係性

監理技術者と主任技術者は直接的かつ恒常的な雇用関係が必要です。

つまり派遣労働者や在籍出向者、有期雇用者は原則認められません。

恒常的な雇用関係を判断する基準としては自社の社会保険に直近3ヶ月以上加入しているか否かで判断する基準もあるようです。

専任期間

監理技術者等は基本的には契約工期の全期間に専任する必要があります。

しかし工事現場が不稼働であることが明確な期間などは常駐性を要しません。

ただしこの不稼働の期間は自由に他の現場に技術者になれるわけではありません。この配置技術者等が専任であることと常駐制とは別個で考えるようにしましょう。

つまり専任制が生じている現場であっても有給は取得出来、業務の研鑽を図るためのスキルアップの時間にあてることは問題ないということです。

専任制が生じる現場での配置技術者等の常駐性に関してはこちらの 主任技術者と監理技術者に関する専任制と常駐性の違い にてご確認ください。

あくまでも専任する義務が免除されるだけです。

指定建設業

請け負う工事の業種が建築一式工事、土木一式工事、電気、管、造園、鋼、舗装工事の場合は管理技術者は一級の国家資格者を配置しなくてはいけません。

これらの業種を指定建設業といいます。指定建設業は実務経験者では監理技術者になれません。(指導監督的な実務経験者(請負契約書で2年以上証明出来る技術者))

指定建設業については特定の許可取る事業所必見!7つの指定建設業の注意点でご確認ください。

上記7業種以外では要件を満たす指導監督的な実務経験者でも管理技術者になれます。

主任技術者が複数現場を掛け持ちできる場合は?

監理技術者は同時進行で現場を掛け持ち出来ません。

しかし主任技術者は条件によっては複数現場を掛け持ちできます。

詳しくはこちらの主任技術者を現場に兼務させる場合の請負金額はいくら?【建設業許可】にてご確認ください。

まとめ

主任技術者は複数現場を掛け持ちできますが、実は限定された条件の中に限ります。

兼務することが合理的かつ必要性がある場合が該当します。

条件的には厳しいと思う方もいると思いますが、原則はどの工事現場にも主任技術者が専任することが望ましく、あくまでも例外規定で兼務が認められます。