この記事の要約
主任技術者や監理技術者である配置技術者には専任制が生じる工事現場があります。この工事現場には常駐性、つまり工事現場にずっといないといけないという意味合いが含まれているように思いますが、必ずしもそうではありません。条件付きではありますが、配置技術者が現場を離れることは問題ありません。詳しくは記事にてご確認ください。

建設業の許可を受けると、許可を受けた業種で請け負った工事現場には主任技術者等の配置技術者を配置しないといけません。(建設業法26条、施行令27条)

具体的には工事の請負金額が4,000万円以上になれば配置技術者には専任制が生じます。

この専任制とは、その現場が稼働している期間は他の工事現場の配置技術者にはなれないということです。

この専任制という言葉には工事現場にずっといないといけない、つまり常駐しないといけないという意味でとらえる方もいらっしゃいますが実はそうではありません。

例えば、配置技術者が労働者であれば、有給を取得したりスキルアップをする時間も必要です。

継続的連続的に専任制が生じる工事現場が続き、常に常駐しないといけないのであれば休むことが出来ません。
これは現実的ではないでしょう。

そこでこういった専任制=常駐という勘違いがおきないようになのか通達では明確に専任≠常駐と確認できます

この記事では専任制が生じる工事現場でも、工事現場にいなくても良いとされている期間につき説明します。

配置技術者について基本的なこと

配置技術者等の役割は次の通りです。

建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の 作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事 する者の技術上の指導監督

また、請負金額の額が4,000万円(建築一式工事である場合にあっては、8,000万 円)以上の公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは

工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、監理技術者等は、 工事現場ごとに専任の者でなければならないとされている(法第26条第3項)。

詳しくはこちらの 主任技術者、監理技術者の専任性が生じる具体的請負金額は?【令和5年改正】 にてご確認ください。

専任とは

専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事することを意味しています。

必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場 に滞在していること)を必要とするものではないです。

そのため、適正な施工管理が出来る限りにおいては、工事現場を離れる下記の行為は専任制が生じている現場であっても問題ないとされています。

・技術研鑽のための研修、講習、試験等への参加

・休暇の取得

・育児等のために短時間現場を離れること(女性の場合)

・その他合理的な理由

国交省の見解は?

国交省は配置技術者が専任制を要する、要しない期間についてマニュアルにて例示をしております。

元請業者、工場製作、下請業者によって専任を要しない期間について白チャート部分につきご確認ください。

適切な施工ができる体制を確保するとは

適正な施工が出来る限りにおいては、現場を離れることは問題ないとありまぐすが、具体的にはどのような体制でしょうか。

例えば、次のことが想定されています。

◆適切な施工体制の確保とは◆


・必要な資格を有する代理の技術者を配置する

・工事の品質確保等に支障の無い範囲内において、連絡を取りうる体制及び必要に応じて現場に戻りうる体制の確保

 

ただしこれら体制について、元請の監理技術者等の場合は発注者、下請の主任技術者の場合は元請又は上位の下請の了解を得ていることが前提になります。

注意点

条件を満たせば専任制が生じる配置技術者等が現場にいない期間があっても問題ないことがわかりました。

ただし、適切な施工ができる体制の確保にあたっては、配置技術者が当該建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者であることに変わりはありません。配置技術者が担う役割に支障が生じないようにする必要がある。

この際、例えば必要な資格を有する代理の技術者の配置等により適切な施工ができる者を配置出来るのであれば、現場に戻りうる体制を確保することは必ずしも要しないようです。

働き方改革に伴う残業規制や建設業への入職者を増やした持続的な体制を確保したい思惑などの関係からか、過重労働になることや監理技術者等の研修等への参加や休暇の取得等を不用意に妨げることのないように配慮することが求められます。