建設業には材料費がかならずかかります。

工作物の工事原価になるからです。

決算変更届を作成するにあたって、材料費に関して最低限おさえておきたいポイントをまとめました。

建設業会計における材料費とは

建設業会計における材料費とは、工事を完成させるために、物品を消費することによって生じる原価のことを言います。

材料費は、発生形態や消費形態によっていくつかに分類することができます。

材料費の分類

発生形態、消費形態でどのように材料費を分類するか確認しましょう。

発生形態による分類

素材費・・工事の主要な構成部分となる物品の消費高であり、工事現場で消費するもの。

鉄筋、鉄骨、セメントなど。

買入部品費・・外部業者より購入し、加工せずにそのまま工事に使用する物品の消費高。

ビル建築の際に設置するエアコン、照明設備など。

燃料費・・機械の動力、工事現場の冷暖房などのエネルギー源となる物品の消費高。

重油、ガソリン、天然ガスなど。

現場消耗品費・・工事の完成に関連して消費されるものであるが、工事の主要な構成部分とならない物品の消費高。

切削油、くず布、グリス、 電球など。

消耗工具器具備品費・・耐用年数1年未満または価格が相当額未満である工具、器具、備品の消費高。

スパナ、ペンチ、測定器具など。

消費形態による分類

作業機能別分類

 

材料が工事現場においてどのような機能のために消費されるかによって次のようにも分類されます。

 主要材料費・・工事現場において、基本的作業のために消費されるもの。

 補助材料費・・工事現場において、間接的作業のために消費されるもの。

 仮設材料費・・工事現場において、工事の実施を補助するために消費され、工事の完了とともに撤去されるもの。

工事との関わりによる分類

 直接材料費・・材料が工事を完成させるために消費され、その工事の主たる実体を構成するもの。

 間接材料費・・複数の工事で間接的(共通的)に消費されるもの。

『材料』と『材料費』は同じ?

建設業会計では『材料費』のほかに『材料』という勘定科目もあります。

材料と材料費、語は似ていますが同じではありません。

『材料』は資産勘定、『材料費』は費用勘定です。

材料を購入したときに材料(資産)として受け入れ、材料を消費したときに材料費(費用)に振り替えて原価計算をします。

これを『購入時資産処理法』と言います。

※簡便法として、購入時にすべて消費したと仮定して費用計上し、残った材料の評価額を費用から控除する『購入時材料費処理法』もあります。

仮設材料費

上記材料費の分類の中で、特に建設業会計に特有なものが『仮設材料費』です。

建設物それ自体となる工事消費材料とは異なり、足場材などの仮設材料は工事完了時に現場から撤去されて再び他の工事に使われる可能性があります

そのため、仮設材料費の計算は一般的な材料費の計算方法とは異なっており、次のような方法があります。

社内損料計算方式

工事を行う前に、仮設材料の使用における損耗(価値の減少)分の各工事負担分を使用日数に対して予定しておき、後日予定と実際の差異を調整する方法。

すくい出し方式

仮説材料を現場に投入したときに全額を当該工事の原価として費用計上し、撤去時においてその仮設材料が資産価値がある場合にはその評価額を当該工事原価から控除する方法。

まとめ

・建設業会計における材料費とは、工事を完成のために物品を消費することによって生じる原価

・発生形態や消費形態によっていくつかに分類することができる

・『材料費』と『材料』は異なる勘定科目

・仮説材料費には特有の計算方法がある