建設業許可 電気通信工事業

この記事の結論と要約
許可業種の1つである電気通信工事業の専任技術者要件をまとめています。電気通信工事業の許可を取得する場合は該当する資格や検定、一定以上の実務経験、指定学科などを確認してください。

建設業許可の工事の種類は全部で29種類あります。

それぞれの業種で専任技術者になるための条件が異なります。

この記事では電気通信工事業の専任技術者になるための条件をまとめました

まず注意する点は現在自社で施工している工事が建設業法上でも電気通信工事業と判断されているかという点です。

もし実務と法律上で一致していないと許可を取得しても500万円以上の工事を請け負うことが出来ません。

また専任技術者の実務経験としても同様に認められません。

そうならないためにも自社が取得すべき業種を今一度確認しましょう。

判断方法については『建設業許可|取得すべき業種の判断方法。主たる工事とは』でご確認ください。

この記事を読むことで電気通信事業の実務経験としてカウント出来る工事や資格や学科を知ることが出来ます

電気通信工事業に該当する工事

建設業法上、電気通信工事業は次のような内容の工事が該当します。

◆一般建設業の専任技術者要件


有線電気通信設備、無線電機通信設備、包装機械設備、データ通信設備などの電気通信設備を設置する工事

代表的な工事名の例を確認しましょう。

該当する工事の例示

電気通信工事業として判断される工事名の例示は次の通りです。

◆電気通信工事業に該当する工事例


・電気通信線路設備工事

・電気通信機械設置工事

・放送機械設置工事

・空中線設備工事

・データ通信設備工事

・情報制御設備工事(コンピューター等の情報処理設備の設置工事も含まれる)

・TV電波障害防除設備工事

以上が電気通信工事業の代表的な工事になります。

電気通信工事業の注意点

既に設置された電気通信設備の改修、修繕または電気通信工事に該当します。

しかし保守などの耐久性の確保を図るための点検や整備や修理は電気通信工事に該当しません。

すべての保守工事は実務経験として認められません

専任技術者になるための要件の概要

営業所ごとに常勤の技術者を配置することが許可の要件です。

専任技術者について一般的な概要はこちらからご覧ください。

専任技術者には各業種の技術的な要件が求められます。

技術的な要件は次の①〜③のいずれかに該当することです。

■専任技術者の技術的要件■


①国家資格・検定を持っている

②許可を取得する同業種の請負工事を常勤として10年以上働いた実務経験

③指定学科卒業後に一定以上の実務経験

※ 特定建設業を取得する場合、別途条件あり⇒特定の許可取る事業所必見!7つの指定建設業の注意点

電気通信工事業を取得するための技術的要件を確認しましょう。

電気通信工事業の専任技術者の資格・判定

一般か特定かいずれの許可を取得するかで技術者の要件は異なります。

一般と特定の違いについては『一般建設業と特定建設業の許可の違い。どっちをとればいい?』でご確認ください。

ざっくり言うと発注者から直接工事を請け負うことがなければ一般建設業の許可が必要とお考え下さい

一般の電気通工事業の専任技術者要件

電気通信工事業の一般建設業の専任技術者になるための資格は次の通りです。

◆一般建設業の専任技術者要件


・電気通信主任技術者+資格取得後に実務経験5年以上 ※1

・2級電気通信工事施工管理技士

※1  資格取得後に5年以上の実務経験が求められます。

特定建設業の電気通信工事業の専任技術者になれる資格・検定

電気通信工事業の特定建設業の専任技術者になるための資格は次の通りです。

◆特定建設業の専任技術者要件


・技術士試験2次試験合格者(電気電子部門・総合技術管理部門。選択科目は電気電子)

・1級電気通信工事施工管理技士

※特定建設業の資格要件を満たせれば、一般建設業の技術者になれます。

実務経験で電気通信工事業の専任技術者になる

実務経験で電気通信工事業の専任技術者になるためには10年以上の専任技術者経験が必要です。

ただし高校、専門学校、大学で特定の学科を卒業していれば10年より短い期間でも専任技術者になれます

具体的な実務経験年数は次の通りです。

・大学または高専の指定学科 ⇒ 卒業後3年以上の実務経験

・高等学校の指定学科    ⇒ 卒業後5年以上の実務経験

証明する方法は工事名や工事内容が確認出来る発注書や契約書を必要期間分用意します。

なので昔の請求書や通帳が必要です。

電気通信工事業に該当する学科

では、電気通信工事業で認められる特定の学科とは何学科でしょうか。

電気通信工事業は電気工学または電気通信工学に関する学科を卒業すれば、要求される実務経験期間が短縮されます。

下記、代表的な学科名です。

◆電気通信工事に該当する学科


・電気通信科

・電子応用科

・情報科

・制御科

・電力科

・電気科(電気・電子科)

・電気技術科

・電気・電子科

・システム科

・電子情報科

以上です。

もし枠内の学科、もしくは名前が似た学科を卒業していれば実務経験期間が短縮される可能性があります。

その場合には卒業証明書だけではなく、履修証明書を持って窓口で相談しましょう。

実務経験で特定建設業の要件を満たしたい!

実務経験のみで一般建設業の技術者になる場合、電気通信工事業に携わった経験が10年以上必要でしたね。

それでは特定建設業の専任技術者には実務経験でなれるのでしょうか。

電気通信工事業は実務経験でも特定建設業の専任技術者になれます

特定建設業の専任技術者要件を実務経験のみで満たす場合、

次の3つの条件を満たす請負工事の実務経験が2年以上必要になります。

◆特定建設業の実務経験要件を満たす工事の3つの条件


①発注者から直接請け負った工事

②請負金額が税込4500万円以上

③指導監督的な立場で指揮をとったこと

この3つの条件を満たす実務経験のことを指導監督的実務経験と言います。

具体的には建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で技術面を総合的に指導した経験です。

まとめると実務経験で特定建設業の専任技術者になるための要件は次の通りです。

◆特定の許可を実務経験のみで取得する場合の要件


一般建設業の技術者の要件を満たす+2年以上の指導監督的実務経験

一般の専任技術者に実務経験のみでなる場合、10年以上の実務経験が必要です。

10年以上の実務経験と指導監督的な経験が2年以上あれば特定建設業の専任技術者として認められます

指導監督実務経験経験は請負契約書の原本で証明します。

4,500万円以上の工事を請け負う場合は、必ず請負契約書を結びましょう。

まとめ

電気通信工事業の一般の専任技術者を電気通信主任技術者の資格を用いて要件を満たす場合、資格取得後に実務経験が必要です。

資格を取得後に常勤で5年以上の実務経験が必要になります。

実務経験のみであれば10年以上必要です。

特定の学科を卒業した方であれば実務経験は3~5年で要件を満たせます。該当する方がいれば優先的に要件を満たせているか確認しましょう。健康保険書の資格取得日から実務経験の常勤性が認められます。

ちなみに電気通信工事業と電気工事業は別々の工事ですが共通する部分が多いです。

大きな違いとしては電気工事は無資格者の実務経験は認められません。

ご関心ある方は『電気工事業の建設業許可を取るための専任技術者要件』でご確認ください。