解体工事 登録

この記事の結論と要約
解体工事業の許可と登録は管轄する法律が違います。原則、全ての解体工事業者は登録が義務付けられています。ただし解体工事業の許可を取得すれば登録は不要です。登録と許可では、許可を取得する方が難しいと言われています。登録方法については記事内にてご確認ください。

平成28年6月から解体工事業の許可業種に追加されました。

解体工事業を営む事業所からすれば、解体工事業者として登録と許可の違いにご関心があるかと思います。

また自社は登録と許可のどちらを取得すればいいのか、それとも念の為に両方とも取得した方がいいのか。こちらについても文中でご確認ください。

この記事を読むことで許可と登録の違いを知ることができ、どちらを取得すべきか知ることが出来ます

解体工事業の許可と登録の違い

許可制度と登録制度の違いを確認しましょう。

根拠となる法律が違う

まず絶対的に異なる点があります。それは法律です。

許可は、建設業法を根拠とした制度です。

それに対して登録は通称、建設リサイクル法が根拠です。

つまり許可と登録は制定された目的がそれぞれ異なります

建設リサイクル法の目的

解体工事の登録制度の根拠である建設リサイクル法の目的は次のように言い換えることができます。

この法律は、再資源の十分な利用および廃棄物の減量を通じて、資源の有効な利用の確保および廃棄物処理の適性を図り、生活環境の保存を目的とする。

つまり建設資材のリサイクルを通じて環境破壊を防ぐことを目的としています。その手段として解体工事業者の登録が規定されています。

なぜこの法律が制定されたかというと、一部の不法投棄をする事業者が環境破壊につながる行為をしていたため、解体業者としての施工能力を担保するとともに情報を管理するため登録を義務付けたからです。

適正に解体工事を施工できる事業者以外は解体工事が出来ないように制限をかけたとも言えます。

許可と登録の決定的な差

さて、結局自社は許可と登録のどちらが必要なのでしょうか。

次のように言えます。

500万円以上の解体工事を請負うのであれば許可、それ以外の事業者は登録

つまり土木建築の工作物を解体する全ての工事業者は登録が義務付けられており、中でも500万円以上の解体工事を請負う事業所は建設業の許可が必要、ということです。

また許可と登録。

どっちが取得するのが難しいかというと断然許可の方が難しいです。むしろ許可を受けた事業者には登録する義務は課せられません

具体的な違いは次のことが挙げられます。

◆解体工事業の許可と登録の違い


①常勤の役員の要件

②財産要件

③登録を受ける主体

④実務経験証明の難易度

一つずつ確認しましょう。

①常勤の役員の要件

建設業の許可制度では、建設業の請負工事を5年以上役員や個人事業主として請けた経験が必要です。つまり解体工事業を営む会社の役員に一定以上の経験を有している方が必要です。

しかし登録制度では解体工事の一定年数以上の実務経験は役員には課せられておりません。

財産要件

建設業の許可を取得する場合には、純資産(返済する義務のないお金)が500万円以上必要です。

登録にはありません。

③登録を受ける主体

建設業の許可を取得すれば、許可一つで全国の解体工事現場で500万円以上の工事を請負うことが出来ます。

しかし登録事業者は違います。

現場がある都道府県ごとに登録を受けなくていけません

東京都と神奈川で500万円未満の解体工事を請負うのであれば、東京都と神奈川でそれぞれ登録を受ける必要があるということです。

④実務経験の証明の難易度

建設業の許可を取得する場合、解体工事の技術的な実務経験を有することを請求書や契約書等で証明しなくてはいけません。

もし実務経験だけで解体工事の許可を取得するのであれば過去10年分の解体工事の請求書や通帳、契約書を揃える必要があります。またその期間は社会保険に加入していることが原則求められます。

詳しくは『解体工事業の経過措置!許可を失効させないための必須知識|建設業許可』でご確認ください。

それに対し、登録はそこまで細かい実務経験の証明書類は求められません。また社会保険に加入していたことも必須ではありません。

つまり許可より登録の方が実務経験の証明が簡単といえます。

登録と許可の違いは以上です。

解体工事の登録を受けるためには

解体工事の登録事業者として登録するためには2つの登録要件を満たす必要があります。

◆解体工事業の登録要件


①技術管理者の配置

②登録を拒否される要件に該当しないこと

一つずつ確認しましょう。

①技術管理者の配置

技術管理者とは解体工事現場における施工上の責任者です。

技術管理者は誰でもがなれるわけではないです。

一定年数の実務経験者か、有資格者であることが求められます。また土木科を卒業した者は実務経験が短縮されます。

■技術管理者の登録要件■

◇実務経験のみ◇

・解体工事に関して8年以上の実務経験を有する者

国土交通大臣の講習を受講すればマイナス1年

 

◇卒業学科+実務経験◇

・土木工学科の大学卒+2年以上の解体工事の実務経験を有する者

・土木工学科の高等専門学校卒+2年以上の解体工事の実務経験を有する者

・土木工学科の高等学校卒+4年以上の解体工事の実務経験を有する者

・土木工学科の中等教育学校卒+4年以上の解体工事の実務経験を有する者

国土交通大臣の講習を受講すればマイナス1年

 

◇資格を有する者◇

・解体工事施工技士

・1級建設機械施工技士、2級建設機械施工技士(第1種又は第2種」)

・1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木)

・1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(建築又は躯体)

・1級建築士、2級建築士

・1級のとび又はとび工の技能検定に合格した者(職業能力開発促進法による検定)

・2級のとびあるいはとび工の技能検定に合格した後、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者(職業能力開発促進法による検定)

・技術士(二次試験のうち建設部門に合格した者)

 

技術者管理者の配置義務については以上です。

②登録を拒否される要件に該当しないこと

次の(1)~(6)のうち一つでも該当する解体業者は登録を受けることが出来ません。

(1)解体工事業の登録を取り消された日から、2年を経過していない者

2)解体工事業の業務停止を命ぜられ、その停止期間を経過していない者

(3)建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑罰を受け、その執行を終わってから2年を経過していない者

(4)暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者

(5)解体工事業者が法人の場合で、役員の中に、上記(1)~(5)のいずれかに該当する者がいるとき

(6)登録申請書に虚偽の記載があるとき

 

登録を拒否される要件は以上です。

まとめ

いかがでしょうか。

許可と登録は制度の目的が異なります。全ての解体工事の建設事業者に登録は義務付けられていますが許可を取得すれば登録は必要ありません。

登録だけでは不十分な場合は、500万円以上の解体工事を請負う場合です。元請下請にかかわりません。

また他の注意点としては登録の有効期限は5年間です。

5年経てば再度、更新の手続きが必要ですので忘れずにお手続きしましょう。

許可取得は登録より難しいですが取得にご関心ある方は『建設業許可を初めて取る人が最初に読む分かりやすい記事』でご確認ください。