許可の1本化 建設業

この記事の結論と要約
許可の一本化についてまとめています。既に許可を取得している人が新たに業種を追加する際に関係する制度になります。専任技術者の要件を満たしたうえで許可の一本化に取り組まなないと、許可の有効期限が失効してしまうこともあり得ます。その対策もまとめています。


建設業の工事の種類は全部で29種類あります。500万円以上の専門工事を請け負うためにはそれぞれの工事で許可を取得しなければいけません。

それぞれの工事を取得するための専任技術者の条件は業種により異なります。だたし許可の有効期間は共通して5年です。

有効期間である5年以内の間で、新たな業種の専任技術者の要件を満たした場合に許可業種を追加出来ます。すると最初に取得した業種と、途中で追加した業種の有効期限日はそれぞれ違ってきます。

(例:新規で電気工事の許可を取得。その2年後に電気通信事業の許可を取得。その日時点の電気工事の有効期間は残り3年、電気通信事業は5年。)

このような状態になると管理が煩雑になり、さらに手数料も余分にかかってしまいます。出来れば一回の更新手続きで、次回も5年後まで手続きはしたくないですよね。

それを実現させる手続があります。それが許可の一本化と呼ばれている手続きです。

この記事を読むことで許可の有効期限日を統一する許可の一本化という手続きを知ることが出来ます

許可の一本化について

許可の一本化は次の場合に行われています。

◆許可の一本化が行われるタイミング

・更新申請時。追加していた業種も同時に更新する

・業種追加申請時。同時に更新手続きをする ※一定の条件下のみ可能

ややこしいですね。1つずつ確認しましょう。

更新申請時に、追加業種も同時に更新する

ある業種の許可の有効期限が切れそうで更新申請をする場合に、まだ有効期限に余裕のある業種を一緒に更新する場合です。

(例:電気工事の有効期限が切れそうだから更新手続きをする。内装仕上工事の有効期間はまだ2年残っている。しかし内装仕上工事の更新手続きも同時に行う。)

更新申請の際に、同時に許可の一本化をすることで2つの有効期限日は同一日になるということです。

新たな業種の追加申請をする場合

許可事業所が新たな業種を追加する場合、業種追加の手続きをする際に有効期限が残っている既存の業種も同時に更新する場合にも許可の一本化は行えます。

(例:電気工事の許可を新たに追加したい。既に許可を受けている内装仕上工事の許可はまだ有効期限は充分残っている。しかし新たな業種と有効期限日を同じにするために同時に更新申請もする。)

こうすることで2つの業種の有効期限日は同一日になります。

追加申請の際に許可の一本化をするためには一定の条件下でないと出来ません。

有効期限の最低日数です。有効期限が最低日数ないと、業種追加時に許可の一本化は受け付けられません。

◆許可の一本化に必要な有効期限の最低日数


・大臣許可・・・6ヶ月以上

・知事許可・・・自治体による(目安30日以上)

許可の一本化についての概要は以上です。

最大の注意点!

許可の一本化の最大の注意点は専任技術者の要件です。

専任技術者は事業所ごとに専任かつ常勤であることが要件です。A支店とB支店が電気工事の許可を取りたい場合、電気工事の専任技術者はA支店に1人、B支店に1人の合計で最低2人いなくてはいけません。営業所ごとに専任でなくてはいけないからです。

詳しくは『建設業の許可要件である営業所における技術者の専任性とは』でご確認下さい。

つまり業種の追加申請の際に専任性の条件をしっかり考慮して配置しなくてはいけません。新たな人を雇うのであればいいですが、異動で要件を満たすのであれば既に許可を取得している支店で要件が満たせなくなる可能性があります。許可要件を満たしていない状態で工事をすると行政処分の可能性もありますので細心の注意が必要です。

一番おすすめな方法は、最初に業種追加申請をして許可が下りた後に更新申請で許可の一本化をする方法です。

別々に専任技術者の要件を満たせているか役所が書類上で確認するので一番安全な方法だからです。

まとめ

許可の一本化は更新手続きを簡易にして無駄な手数料を省くための手続きです。

大変便利な制度ですが、専任技術者の要件をしっかり満たせた上で申請しないと許可が失効してしまうリスクがあります。特に専任技術者の要件はしっかり頭の中にいれて人員配置をしましょう。

一番の対策は業種の追加申請をして許可が下りた後に、更新申請をすることだと個人的には思います。