「建設アスベスト給付金制度」は、建設現場で働きアスベスト(石綿)の健康被害を受けた方やその遺族に対して国から給付金を支給す制度です。しかし、給付金の支給を受けるには条件があります。
この制度の支給条件や支給額、注意点等について解説します。
過去に建設現場のアスベスト(石綿)が原因で健康被害を受けた労働者に対し国が賠償する「建設アスベスト給付金法」が2022年1月に施行されました。
この給付金は、過去にアスベストが排出される建設業務に従事したため、石綿関連疾病を患い苦しんでいる方に対して、国が責任を認め給付金を支給する制度です。 この給付金の支給を受けるためには、条件があり全ての方が対象となる訳ではありません。 また、給付金支給の有無と金額は、従事していた期間、病気の種類、症状等により決定されます。
こちらの記事では、建設アスベスト給付金の対象となる方、給付金額、手続きの注意点等をお伝えいたします。 お心あたりのある方は、この記事をご覧いただき、対象者となるかご確認ください。
Contents
建設アスベスト給付金 3つの支給条件
建設アスベスト給付金の支給を受けるためには次の3つの条件を全て満たす必要があります。
それぞれ確認しましょう。
①対象期間中に一定の業務に建設従事していたこと
昭和47年10月1日から昭和50年9月30日までに石綿の吹付作業に関わる建設業務をしていた、または昭和50年10月1日から平成16年9月30日までに屋内作業場で作業に関わる建設業務をしていれば対象となり得ます。
平成16年10月1日以降からは対象外です。
②石綿関連疾病の発症
石綿関疾病とは次の表の通りです。
・中皮腫 ・肺がん ・著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚 ・石綿肺(じん肺管理区分が管理2~4) ・良性石綿胸水 |
就業歴(石綿を扱った作業歴が分かる資料)、診断書が必要です。ただし、労災認定を受けた方は、就業歴・診断書は必要ありません。
③給付金を請求出来る対象者であること
給付金を請求する対象者は基本的には石綿関連疾病を発症した労働者、一人親方、中小事業主です。 ご本人がお亡くなりになった場合には、ご遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹)からの請求が可能です。 ご本人が請求できない場合は、委任状を提出して代理で請求も可能です。
建設アスベスト給付金の支給額
では支給対象者が建設アスベスト給付金の請求をした場合に、具体的にいくら支給を受けることが出来るのでしょうか。 支給される金額は次の2つの要素で決まります。
・疾病の区分
・請求者が本人か遺族か
以下それらをまとめた表になります。
本人よりご遺族の方が金額が高いのは賠償という意味合い強いのからでしょう。
給付金の額の注意点
給付金の額は原則は上記の表の通りです。 しかし条件によっては減額されることもあります。減額される主な例としては次の通りです。
・石綿関連業務の建設業務に従事した期間が短い場合
・喫煙習慣など、本人の健康状態に考慮すべき項目がある場合
要注意!建設アスベスト給付金の請求期限
建設アスベスト給付金を請求できる要件を満たせている場合でも、これを請求できるには期限があります。 言い換えると下記の期間を過ぎると請求ません。
①石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日
②石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日
①または②のいづれか遅い日から起算して20年以内が請求期限です。 図で確認しましょう。
石綿関連疾病により死亡した場合
死亡した日から起算して20年以内
まとめ
今回は、アスベストが排出される建設業務に従事し、健康被害を受け苦しんでいる方やご遺族を補償する制度の「建設アスベスト給付金制度」についてお話しました。被害者が苦難の中、訴訟を諦めなかったので、国が責任を認めてできた制度です。この制度があることを苦しんでいる方に知っていただきたく書きました。給付金を受給した後でも、症状が悪化した方は、追加給付金を受けることもできます。
「自分が給付対象になるかわからない」「追加給付の対象になるのか」などの疑問には、相談窓口も設置されていますので、お問い合わせください。
労災保険相談ダイヤル 0570-006031 ※月曜日~金曜日8:30~17:15(土・日・祝日・年末年始は休み)
詳細については厚生労働省ホームページの「建設アスベスト給付金制度について」をご覧ください。
建設アスベスト給付金制度について|厚生労働省 (mhlw.go.jp) また弊所は社会保険労務士事務所も併設しておりますので、皆様から代理で給付金の申請をすることが出来ますのでご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。
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