この記事の要約
建設業を取扱う行政書士事務所のHPで「他の事務所で断られた案件でもご相談ください!」といった謳い文句をご覧になった方向けに、なぜ行政書士事務所によって許可取得の可否が分かれるのか3つの理由を添えて説明しました。許可が取れないと言われた事業者必見の内容です。
 
建設事業者、製造業事業者においては労働安全衛生法をしっかり遵守しないと!という考えがありながら、そこまで力を入れられていない現状もあるのではないでしょうか。
労働安全衛生法に関しては多岐に渡り、何をしたらいいのか分からない事業者さんもいらっしゃると思います。
 
しかし悪気はないにしても、法違反をしていれば罰則の対象です。
また労働安全衛生法は事故が起きることが罰則の条件ではありません。事故が起きるおそれのあることを放置していることも罰則を受ける理由になります。
さらに事故が起きた場合には労働安全衛生法以外にも罰則を受けるだけではなく、賠償責任なども発生します。
つまり労働安全衛生法違反は複数の責任を発生させ、被害は甚大ということです。
 
そこでこの記事では労働安全衛生法に違反すれば企業はどんな責任を問われるのかついて解説したいと思います。
 

企業に課せられる4つの法的責任

 
労働安全衛生法違反で建設業者に問われる責任は次の4つです。
 
◆建設業者に課せられる4つの法的責任◆
 
①刑事的責任

②行政的責任

③民事責任


④社会的責任

 
具体的にどんな責任が問われるのか。
それぞれ詳しく確認しましょう。

①刑事的責任

1つ目は刑事的責任です。
 
死亡災害等の重大な災害や事故を引き起こしたときは、行為者が誰なのか、その行為者を監督してした人、つまり責任の所在は誰なのかが問われます。
 
事故の加害者としても過失が明らかなときは、作業員あるいは元請の管理監督者などの個人が刑事的責任を問われます。
 
適用される条文は刑法211条の業務上過失致死傷等です。
 
過失とは一般的な認識では不注意です。つまり不注意で事故を引き起こして被害を与えた責任が問われます。
 
そして労働安全衛生法の罰則にも刑事罰の適用があります。
 
労働安全衛生法の主語は事業主なので法人が刑事罰を受けるべきなのですが、法人は自然人ではありません。よって実際に業務を執行する代表取締役社長が刑事罰の責任を追求されるということです。しかしながら、企業によっては社長がすべての業務執行をしているわけではありません。
 
工事に関していえば、作業所長などの管理監督者に責任と権限を委ねています。そうすると労働安全衛生法では管理監督者が処罰対象ということです。
 
では法人は何も責任がないのかといったらそうではありません。
 
労働安全衛生法122条には法人の罰則規定があります。この行為者だけではなく法人にも罰則が及ぶ規定を両罰規定と呼ばれます
 
第百二十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条、第百十九条又は第百二十条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

 

②行政的責任

 
2つめの責任は行政的責任です。確認しましょう。
 
建設業者が関係する法律は大きく次の2つです。

(1)労働安全衛生法

(2)建設業法

これらの法律には違反した事実があると、監督行政庁から監督処分等の行政処分を受けます。
 
それぞれ確認しましょう。
 

労働安全衛生法の行政処分

 
労働安全衛生法には労働者が就業中に怪我しないように必要な措置を定めています。
 
この法律に違反した事実があるときは、都道府県労働局長や労働基準監督署長から是正するように勧告等を受けます。
また違反していないくても現状危ない状態であると確認されるときも同様です。
 
では法令に違反していないが、危険なときはどうでしょうか。
 
それは、より災害発生の急迫した危険があり、緊急の必要がるあるときです。(労働安全衛生法25条、98条)

例えば今にも建物が倒れそうな時は作業を中断させて立ち入り禁止の措置するような命令です。

 

必要な是令措置の例

 
・使用停止命令
・変更措置命令
・避難命令
・立ち入り禁止など
 

建設業法

 
次に建設業法です。
 
建設業法28条には監督処分が規定されています。指示及び営業の停止です。
 
労働安全衛生法に違反したことを根拠に指示処分や定業の停止処分を受けることはよくあります。建設業法上の監督処分の根拠で一番多い法令違反が労働安全衛生法違反です
 
処分を受けると国土交通省のネガティブサイトで公表されますので、ご注意ください。
 
 

③民事責任

 
次に民事的責任について確認しましょう。
 
民事的責任とは被害者が被った損害を回復するための補填し救済することを目的とした責任です。
 
労働災害では労災保険法がありますが、被害の大きさによっては救済が十分な補償内容となっていません。
また労災事故に伴う財産的侵害、精神的損害などにの慰謝料ついては労災保険の給付内容には含まれていないため、加害者を訴える形(示談交渉)で慰謝料を請求することが一般的です。
 
建設現場の事故であれば法人が民事で訴えられることになると言えるでしょう。
 

④社会的責任

最後に社会的責任です。
 
建設業は許可を受けることで大きな工事を受注することが出来ます。許可というのは禁止の解除です。つまり本来であれば大規模な工事を施工することは禁止されている行為になります。
 
それは社会的環境に大きく影響を与える産業だからです。
 
一定程度以上の企業だと社会が認める制度(許可制度)がないと、自由に事業をしていはいけない規制を設けることには頷けると思います。
 
よって何か事故が起きれば社会的な責任が問われるとも言えます。
 
重大な労働災害や反社会的勢力と付き合いのある会社であれば、存続させておくことが社会にとって大きくマイナスな影響を与えますよね。また従業員や関係請負人の安全を軽視した企業風土は是認されるものではありません。
よって、建設業法や労働安全衛生法をしっかり遵守しましょうとつながります。
 
これら法令を遵守することで、社会に危害を与える可能性を減らせるからです。
 
もし企業が労災事故を起こしたら次のような社会的制裁につながるといわれています。
 
 
・マスコミなどの報道による企業イメージの悪化
 
・株価の下落
 
・新規採用者への影響、事業の存続  等
 
 
 

まとめ

 
労働安全衛生法及び関連法令違反から問われる4つの企業責任につきお話しました。
 
建設業は労災の死亡者数が全産業の中で一番多いです。
 
ゆえに労働者の健康と安全を守ることを目的とした労働安全衛生法では建設業者向けの規定がたくさんあります。
 
それを守ったとしても労災がゼロになることは難しいでしょう。しかし何もやらないでいると、事故が起きた際に罰則が重くなることは当然です。
 
その罰則が、この記事で書いた4つの責任へつとつながります
 
労働安全衛生法違反がいかに怖いものかご理解いただけましたでしょうか。
 
まだ労働安全衛生法に関して何もしていない、何をしていいかわからない事業者は専門家にご相談されることから始めてみてください。