行政法の許可要件に欠格要件があります。
 
欠格要件とは許可を与えるにあたり不適切な事業者を排除する仕組みです。対象者は取締役などの経営陣です。
 
例えば取締役に反社会的なものが就任していれば建設業の許可を与えないといったことです。
 
その欠格要件の中には次のような記載があります。
 

許可を受けようとする者が一年以上の懲役又は禁止錮の刑に処せられ、その執行を終了、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない者であるとき。

 
この執行を受けることがなくなつた日から5年を経過していないとは具体的にどういう状態でしょうか
 
欠格要件が分かるようで分からないでは大きな落とし穴に落ちてしまうかもしれません。
この記事を読んで理解しましょう。
 

執行を受けることがなくなった日から5年を経過していないとは

早速結論です。
 
執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない者とは罰を犯したが執行猶予がつき、執行猶予期間が完了してから5年を経過していない者を指します。
 
言い換えれば執行猶予期間が完了しても、その時点からさらに5年経過しないと欠格要件に抵触するということです。
 

自分がいつ執行猶予が完了したか分からない場合

 
執行猶予が完了してから5年経過しないと、欠格要件に抵触する。つまり過去に罪を犯した人からすれば重要なことはいつ執行猶予が完了したかを明確に把握することですよね
 
その日付の確信がない状態で許可申請書を提出し、万が一5年経過していなければ、虚偽申請に該当しとんでもない不利益を受ける可能性があります。
 
執行猶予が完了した日や処分が完了した日がいつか分からない場合はどうすればいいのでしょうか。
 
その場合、罪を受けた本人であれば判決書をご確認いただくのが早いです。
 
仮に判決書をなくした場合でも、「判決正本交付申請書」を作成し再発行にて進めるのがよろしいかと思います。再交付は数百円でできるそうです。
 
見方に自信がなければ弁護士か裁判所の人に問い合わせて確認してみましょう。
 
 

道路交通法違反には注意!

欠格要件と聞くと、あまり現実味がないと思う事業者もいらっしゃいます。
 
普通に生活していれば問題ないはずだ、という意識です。
 
 
しかし普通に生活していても欠格要件に抵触することはあります
 
令和4年9月に飯田グループホールディングスのアイディホーム株式会社が建設業許可を自主廃業しました。
 
これは欠格要件のうちの一つ「禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者」に該当したケースです。
 
その罰を受けた法律が道路交通法です。
 
簡単に言うとスピード違反です。
 
道路交通法の22条では次のように記載されています。
 
(最高速度)
第二十二条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
 
また118条では次のように記載があります。
 
第百十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

一 第二十二条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者

 
つまり元役員は懲役6ヶ月以下の罰を受けたということです。
 
懲役刑は禁錮刑より重たい処分なので建設業許可の欠格要件に該当するということです。
 
この元役員は罰を受けた日から5年は建設業許可の欠格要件に該当するので、許可を取りたい会社の取締役につくことは難しいと言えるでしょう。
 

令3条の使用人も欠格要件の対象

 
更に注意点!
 
取締役が欠格要件の対象と書いておりますが、令3条の使用人も対象です。
 
令3条の使用人が原因で過去に建設業許可を廃業した会社としてNECが挙げられます。
 
 
これだけだと罪は不明ですが、皆様におかれましては社内のコンプライアンスの遵守対象として取締役と同じくらい重要な位置づけであると共に禁止事項をお伝え下さい。
 

まとめ

建設業許可の欠格要件にある執行を受けることがなくなつた日とはにつき解説しました。
 
対象者は取締役だけではなく、令3条の使用人もです。
 
この欠格要件の罰則は建設業の行政手続きでもかなり厳しい取り扱いで、うっかりミスで記載しなかった場合でも虚偽申請で許可を取得しようとしたととみなされるリスクがあります
 
なので確実に公的な記録をベースに欠格要件に該当していないかを確認しましょう。