この記事の要約
作業主任者の定義、職務、必要な業務との種類と資格につきまとめております。

労働安全衛生法は労働者が労働災害にあわないための、危害防止基準を確立している法律です。

よって危険な作業や指揮監督が必要な作業には無資格者が従事することを禁止しています。そのうち指揮監督が必要な作業につくものが作業主任者です。

作業主任者の職務は次の4つになります。

◆作業主任者の職務◆

①作業の直接指揮

②使用する機械等の点検

③機械等に異常を認めたときの必要な措置

④安全装置等の使用状況の監視等

 

大体の建設工事現場において、危険な作業をする業者は下請業者ではないでしょうか。

これらの危険な業務から労働災害を発声させないようにするために作業主任者の配置が求められています。職務内容からも納得出来ますよね。

作業主任者は元請でも下請でもどちらから作業主任者を出しても問題ありません。

建設業者においては元請業者、下請業者に関わらず作業主任者を選任する業務を把握することは必須です。

この記事では作業主任が必要な業務とその資格及び運用上の注意点について解説します。

作業主任者でおさえておくこと

作業主任者で抑えておくべきことは次の3つです

◆作業主任者で抑えておくべきこと◆


①免許か技能講習の違い

②業務の種類

③現場での周知義務

それぞれ確認しましょう。

①免許か技能講習の違い

後述しますが、作業主任者として選任されるためには免許か技能講習が求められます。

全くの無資格者は作業主任者になれないということです

これら2つのの違いは何でしょうか。

それは次の通りです。

免許・・・・国家試験に合格する  

技能講習・・登録機関にて講習を受講して修了する

取得方法

免許と技能講習の取得方法を確認しましょう。

免許試験は全国にある7つの公益財団法人安全衛生技術試験協会で実施されています。

合格すると免許証が交付されます。

免許を取得するためには学科実技ともに合格が必要です。また受験するためには別の資格を持っていたり、一定以上の実務経験を有していることなど受験要件もあったり免許の方が難易度は高いと言えるでしょう。

技能講習は都道府県労働局に登録した講習期間が実施するものを受講して修了すれば良いです。修了すると技能講習修了証が交付されます。

ちなみに技能講習が必要な業務も関連する免許があれば受講は不要です。労働局に関連する免許かどうか確認してみましょう。

②業務の種類

作業主任者が必要な業務の種類と免許等の関係性をまとめました。

 

業務の種類作業主任者名称種類
高圧室内作業高圧室内
作業主任者
免許
アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行なう金属の溶接、溶断又は加熱の作業ガス溶接
作業主任者
免許
機械集材装置若しくは運材索道の組立て、解体、変更若しくは修理の作業又はこれらの設備による集材若しくは運材の作業林業架線
作業主任者
免許
ボイラー取扱業務(小型を除く)ボイラー取扱
作業主任者
ボイラー 技士免許等
放射線業務に係る作業エックス線
作業主任者
免許
ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真撮影の作業ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許
木材加工用機械を5台以上有する事業場において行なう当該機械による作業木材加工用機械
作業主任者
技能講習
動力プレス5台以上プレス機械
作業主任者
技能講習

危険物等に係る乾燥設備等による物の加熱乾燥の作業

乾燥設備
作業主任者
技能講習
コンクリート破砕器を用いる破砕作業コンクリート破砕器作業主任者技能講習
掘削面の高さ2m以上の地山の掘削の作業地山の掘削及び
土止め支保工
作業主任者
技能講習
土止めの支保工の切りばり、腹おこしの取付け又は取りはずしの作業 
ずい道等の掘削の作業又はこれに伴うずり積み、ずい道支保工の組立て、ロツクボルトの取付け若しくはコンクリート等の吹付けの作業ずい道等の掘削等作業主任者技能講習
ずい道等の覆工の作業ずい道等の覆工作業主任者技能講習
掘削面の高さ2m以上となる採石法2条の岩石の採取のための掘削採石のための掘削作業主任者技能講習
高さ2m以上のはい付け、はいくずし (但し、ばら物荷や荷役機械の運転者のみで行う作業は除く)はい作業主任者技能講習
船舶に荷を積み、船舶から荷を卸し、又は船舶において荷を移動させる作業船内荷役
作業主任者
技能講習
型わく支保工の組立て又は解体の作業型枠支保工組立て等
作業主任者
技能講習
つり足場、張出足場又は高さが5m以上の足場の組立、解体、変更の作業(ゴンドラのつり足場は除く)足場の組立て等
作業主任者
技能講習
建築物の骨組み・塔であって高さが5m以上の金属製の部材により構成されるものの組立て、解体、変更建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習
金属製の橋梁の上部構造(高さが5メートル以上又は橋梁の支間が30メートル以上)の架設、解体又は変更の作業鋼橋架設等作業主任者技能講習
軒高5m以上の木造建築物の構造部材組立て、屋根下地外壁下地の取付木造建築物の組立て等作業主任者技能講習
高さ5m以上のコンクリート造工作物の解体、破壊コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習
橋梁の上部構造であってコンクリート造のものの架設又は変更(但し、高さ5m以上又は橋梁支間30m以上に限る)コンクリート橋架設等作業主任者技能講習
令別表第3の特定化学物質(1類・2類・3類)
製造又は取扱(但し、試験研究の取扱業務は除く)
特定化学物質
作業主任者
技能講習
鉛業務に係る作業鉛作業主任者技能講習
四アルキル鉛等業務に係る作業四アルキル鉛等
作業主任者
技能講習
酸素欠乏危険場所における作業(第一種酸素欠乏危険作業)酸素欠乏危険
作業主任者
(第1種)
技能講習
酸素欠乏危険場所(酸素欠乏症にかかるおそれ及び硫化水素中毒にかかるおそれのある場所として厚生労働大臣が定める場所に限る)における作業(第二種酸素欠乏危険作業)酸素欠乏危険
作業主任者
(第2種)
技能講習
屋内作業場、タンク、船倉、坑の内部その他一定の場所において有機溶剤を製造し、又は取り扱う作業有機溶剤作業主任者技能講習
石綿等を取り扱う作業又は石綿等を試験研究のため製造する作業石綿作業主任者技能講習

下請業者も含めて業務の種類と照らし合わせて必要な免許や資格をご確認ください。

③現場での周知義務

作業主任者を選任した場合、作業主任者の名称、職務内容を作業場所の見やすいところに掲示する等により関係者に周知しないといけません。(安全衛生規則18条) また同一事業場でも別の離れた場所や階層であれば、それぞれ明示する必要があります。

まとめ

作業主任者につき解説しました。

まずは該当する作業が自社、はまたま下請業者にあるのかどうかを確認しましょう。 あるようであれば発注都度、免許証や修了証を確認して労働安全衛生法の事業者義務を果たすことが重要です。

ちなみによく受ける質問で作業主任者は作業監督の一面が多いので単独で作業させる場合には選任しなくてもいいか、がありますが答えはNoです。

理由としては他の職務である機械の点検など現場全体の安全性を担保するために単独でも行うべき職務はあるからです。ご注意ください。

なお似たような言葉に就業制限の種類があります。就業制限業務も無資格者が従事することを禁止しており、作業主任者と混合しやすいです。

ご感心があればご覧になってみてください。

労働安全衛生法上の就業制限業務とは?特別教育との関係も説明!