この記事の要約
下請業者の安全衛生のトップである安全衛生責任者についてまとめています。職長と混同しがちで兼務する方も多いですが、厳密に言えば異なります。安全衛生責任者の配置が必要なケースとどういった資格が必要なのかコンテンツ内にてご確認ください。

労働安全衛生法上、建設業には様々な配置すべき者が定められています。

そのうちの一つが安全衛生責任者です。

これは下請業者が配置する者で、主に元請業者との連絡調整を担当します。ただし下請業者であれば必ず配置しないといけないわけではありません。
また誰でもなれるわけでもないことも特徴です。

このコンテンツでは安全衛生責任者の配置が必要なケースとどういった資格が必要かにつき解説します

安全衛生責任者について

安全衛生責任者について確認することは次の3つです。

①配置が必要なケース

②必要な資格

③職務内容

それぞれ確認しましょう。

①配置が必要なケース

下請業者が安全衛生責任者の配置を求められるのは、元請業者が統括安全衛生責任者を選任する工事に従事するケースです。

原則一日あたり、全体で50人以上が携わる工事現場の下請業者が該当します。

統括安全衛生責任者についてはこちらの記事にてご確認ください。

【建設業専門行政書士監修】統括安全衛生責任者とは?わかりやすく解説!【労働安全衛生法】

②必要な資格

安全衛生責任者は教育研修を修了した者でないといけません。

この研修のことを安全衛生責任者教育と呼びます。この研修は自社でも外部に依頼して教育をすれば良いです。

ただし教育内容には要件が定められており、全部で13時間程度のカリキュラムで構成されています。

また教育を完了すると研修修了証が交付されるので、元請業者に見せられるように準備しましょう。

中には安全衛生責任者教育と職長教育を一緒に受講することも出来ます。職長と安全衛生責任者は別物ですが、職務内容が似ているので研修を一つにするという関係です。

職長教育についてはこちらからご確認ください。

 

③ 職務内容

基本的には安全衛生責任者は統括安全衛生責任者等と一体となって現場の統括安全衛生管理に努めることが求められています

下請業者の安全衛生のトップですね。職長は下請業者内の全体のトップです。(安全衛生にこだわらず全体のトップ)

具体的には次の内容です。

  1.  統括安全衛生責任者との連絡
  2.  統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡
  3.  2. のうち、当該請負人に係るものの実施についての管理
  4. 当該請負人がその労働者の作業の実施に関し計画を作成する場合における当該計画と特定元方事業者が作成する安衛法第30条第1項5号の計画(仕事の工程に関する計画等)との整合性の確保を図るための統括安全衛生責任者との調整
  5.  当該請負人の労働者の行う作業及び当該労働者以外の者の行う作業によって生ずる安衛法第15条第1項の労働災害(混在作業に起因する労働災害)に係る危険の有無の確認
  6.  当該請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合における当該他の請負人の安全衛生責任者との作業間の連絡調整

 

その他、安全衛生責任者の注意点

・安全衛生責任者を選任した下請業者は元請業者に、遅滞なく、その旨を通報(連絡)する必要があります(安衛法第16条第2項)。

・元請業者は、下請業者が仕事を行う日に安全衛生責任者又はこれに準ずる者の駐在状況を把握する必要があるため、下請業者は元請業者が求める情報を連絡するよう努める義務があります(元方事業者による建設現場安全管理指針)。

・下請業者は安全衛生責任者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行なうことができないときは、代理者を選任する必要があります

条文確認

 
第十六条 

第十五条第一項又は第三項の場合において、これらの規定により統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

2 前項の規定により安全衛生責任者を選任した請負人は、同項の事業者に対し、遅滞なく、その旨を通報しなければならない。

 

まとめ

下請業者が配置すべき安全衛生責任者につきまとめました。

注意点は教育研修を受講することです。

元請業者に教育研修が完了しているか確認を求められることがるのでいつでも証明出来るようにしましょう。