建設業に従事する高齢者は令和5年現在80万人程度と言われています。高齢者は運動機能の低下などもあり、全体の労災の割合も多く占めています。特に転倒災害が多いです。高齢者を現場に従事させている事業主様は転倒となる原因を知り、普段から対策をとる必要があります。その安全対策の基本的な知識をこのコンテンツにてまとめました。
高齢者になると身体強度や運動機能が低下することは一般的な認識でしょう
昔は定年が60歳で年金が十分に貰えている方はそのままリタイアしていましたが、昨今労働力人口が減っているなどの様々な社会要因で建設業では65歳以上の高齢者の就業者は80万人程度いるいわれてます。(全体の就業者数が479万人)
また高齢者の定義は一般的には60歳からですが、実際に被災者数が多くなるのは50代からです。もちろん人口も関係ありますが、運動機能が落ちてくることに異論はないでしょう。
そこで50代以上の建設作業員が従事する現場において安全管理をより強固にしないといけません。何もしないでいていざ事故が起きるとなると労災だけではなく、民事上の責任も負います。よってまずは何をすべきか確認しましょう。
この記事では建設業で就業する高齢者が怪我しないように安全配慮すべきことをまとめました。
Contents
労災で多い怪我の原因は?
まずどんな怪我が多いのかを確認しましょう。
令和四年の死傷災害全体のうち、転倒災害が4分の1を占めています。
被災者としては3万5千程度で、そのうち死亡した人数は27人です。
高齢者になれば運動機能の低下からつまずくことが増えて労災になります。
このように高齢者が就業する建設業者では転倒災害の対策は待ったなしで喫緊の課題と言えるでしょう。
転倒の原因
転倒する原因はつまづきや足が取られることです。
そのつまづき等の原因を大きく分けると4つになると言われています。
①水や油などを踏んだことによるスリップ
②段差や物につまずくこと
③階段などを踏み外す
④電源コードなどに引っ掛かる
これらを対策するためには何をすれば良いのかを確認しましょう。
転倒災害対策の基本的方針
職場の転倒災害を防ぐためにの基本的な方針は4S活動が効果的です。
4Sとは次の4つです。
これをつまづきの原因となるもを排除するために活用すればどうなるでしょうか。
例えば濡れている床はすぐに取り除く、床の凹凸はなくすといったことが上げられます。
こう言った身の回りを綺麗にしようとするスタンスが労災を防ぐことになるので、従業員には常に綺麗にするように意識付けるようにしましょう。
具体的にすべき転倒災害対策
転倒災害を防ぐために具体的にするべきことは次のことだといわれています。
それぞれ確認しましょう。
危険マップつくり
工事現場によって危険性、有害性はそれぞれです。
よって現場ごとに危険性を視覚的に捉えるようにしましょう。
安全活動を見える化して情報を共有することで労災のリスクが減ります。
(具体例、 スロープの先にトラテープ 注意喚起のステッカー)
適切な靴の利用、定期的な点検
転倒の原因の一つに靴は大きく関係しています。
スリップしやすい靴、そうでない靴があるのはイメージわきますよね。
また靴は消耗品です。定期的に厚底の摩耗具合を調べるように会社を管理体制を構築しましょう。
他にも靴は環境ごとによって適切な構造がありますので、現場毎に適切な靴を選べているかも確認する体制をしましょう。
靴のチェックポイントは次の観点です。
・屈曲性
・重量
・バランス
・つま先部の高さ
・対滑性
滑りにくいことがかえってつまずきの原因になることもあるので、作業内容を伝えた上で靴の専門業者に相談されてください。
KY活動
自社、他社に関わらず過去の転倒事例を学びましょう。
労働安全衛生法では協議組織の設置が義務付けられています。その際に、KY活動の時間を設けることが望ましいです。
事例をベースにどういったこと対策をすべきなのか、毎日確認して意識付けをして被災する確率を下げましょう。
職場改善
転倒の原因は職場の環境にもあります。
現場監督が従業員を焦らせることがないように指示の出し方には注意することや、両手が塞った状態で歩くことに注意がないような状態は避けましょう。
また冬になると雪が降る地域もあります。
入り口には転倒防止用のマットを引くなど、寒いエリアには特有の気をつけるべきことがあるの適宜すべきことを確認しましょう。
まとめ、その他注意点
建設業に従事する高齢者が増えている昨今、職場や現場には安全に配慮した取組がますます重要視されています。
事業主は現場の管理者に4Sを意識させ、危険を見える化して、適切な備品を支給するようにしましょう。元請業者であれば下請業者が労働安全衛生法に違反していないか確認し、違反しているようであれば指導しなければいけません。
高齢者であれば、法律の基準以上に安全に配慮した取り組み、職場環境の改善も求められています。
階段には手すりを設けたり、床や通路には防滑素材を採用すること、などが一例です。補助金にもエイジフレンドリー補助金があるので高齢者の就業者数が多い事業者は活用されてみてください。
ただ事業主だけが対策しても限界はあります。
高齢者本人にも自身の健康維持、健康づくりに取組むような啓発も重要です。ゲーム感覚でも良いので体力テストや体力を向上するような取組むを普段の業務に取り入れてみてもいいでしょう。ストレッチやスクワットなど足腰を使うものが望ましいです。
防げる事故は限りなくゼロに抑え、事業を健全に発達させていきましょう。