この記事の要約
足場を組み立てる際の墜落防止措置に関して法改正がありました。基本的には一側足場は認められなくなるなど全部で3つ改正があります。転落、墜落は建設業の労働災害でも多いので予防するためにも必ずご確認ください。

足場からの堕落防止措置を強化するために令労働安全衛生規則が改正されました。このコンテンツを書いている令和6年1月時点で既に施工されているものも含めて3つ改正されております。

堕落防止措置は一番違反している事業者も多く、労災事故でも多く年間で100人程度の死亡事故が発生しています。

改正された背景としては現行の規則では事故が無くならないことが挙げられますので、法改正事項は必ず確認してください。

特に建物を建築する際に足場を組み立てて作業する事業者は必見です。建設業許可制度でいえばとび土工コンクリート工事業が該当します。

 堕落防止措置 3つの改正点

令和5年に改正された堕落防止措置は全部で3つです。

◆堕落防止措置 3つの改正点◆


①一側足場の使用範囲の制限

②足場の点検時には点検者の指名が必要

③足場の完成後の足場の点検後に記録すべき事項に点検者を追加

 

それぞれ確認しましょう。

①一側足場の使用範囲の制限

「ひとかわあしば」と読みます。

建築現場における足場の構築方法の一つで、一本の支柱にブラケット等で取り付けた足場板を敷いた一列建地(支柱)の足場のことです。

本足場(ほんあしば)は建地が2本ある足場のことです。

本来、一側足場は敷地が狭い場合には組むことが想定されていますがコスト面の関係で導入されることが多くありました。

この一側足場の使用に制限がかかります。その制限というのは幅が1m以上の箇所において足場を使用する時は、原則として本足場を使用しなくてはいけなくなったことです。

ただし、本足場を活用することが危険な場合には一側足場を活用するで問題ありません。

例えば次のようなケースが該当します。

・足場を設ける箇所の全部または一部に撤去が困難な障害物がある場合
・傾斜のある屋根に足場を設ける場合
・建築物の外面の計上が複雑で1メートルみまんごとに隅各部を設ける必要がある場合
・本足場を使用することにより建築物等と足場の作業床との感覚が広くなり墜落のリスクが高まるとき

コスト面や工期の関係で本足場ではなく、一側足場を利用することは出来ませんのでご注意ください。

この規定は令和6年4月1日から施行されます。(労働安全衛生規則561条の2)


②足場の点検時には点検者の指名が必要

足場の点検をする者を指名する義務が課せられるようになりました

これは足場からの墜落災害が発生している事業場においては労働安全衛生衛生規則で定められている点検をしっかり行われていなかったことが背景にあります。

そこで事業者または注文者による点検者を指名する規定が法改正で追加されました。

点検者は足場の組立て作業主任者で作業主任者能力向上教育研修受講者など一定の研修受講者が望ましいと言われております。

点検者の指名の方法は「書面で伝達」「朝礼等に際し口頭で伝達」「メール、電話等で伝達あらかじめ点検者の指名順を決めてその順番を伝達」等、点検者自らが点検者であるという認識を持ち、責任を持って点検ができる方法で行ってください。

点検ルールや項目は労働安全衛生衛生規則567条で確認出来ます。(つり足場を除く)

③足場の完成後の足場の点検後に記録すべき事項に点検者を追加

これは②の点検者が追加されたことによるものです。

点検の結果及び点検者の氏名、点検した結果、補習などの措置を講じた場合にあってはその内容を記録します。

足場の点検後の記録及び保存にあたっては「足場等の種類別点検チェックリスト」を活用することが望ましいです。

令和5年10月1日から施行(安全衛生規則567、655条)

まとめ

全体の産業のうち、建設業が労災事故が最も多く死亡事故も発生しています。その原因のうちの1つが墜落・転落事故です。

足場を組み立てる者は特別教育を受けなければならないなど、確認事項も多いので足場の組立て等を行う工事に関係する事業者様においてはご注意ください。