この記事の要約
建設業を取扱う行政書士事務所のHPで「他の事務所で断られた案件でもご相談ください!」といった謳い文句をご覧になった方向けに、なぜ行政書士事務所によって許可取得の可否が分かれるのか3つの理由を添えて説明しました。許可が取れないと言われた事業者必見の内容です。

労働安全衛生法は労働災害を防止するために、事業主にすべき措置が規定されています。

ただ、建設業などの現場で事業主が混在する現場では元請業者から下請業者に対して義務付けられることもあります。

です。

(元方事業者の講ずべき措置等)
第二十九条 元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行なわなければならない。

2 元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行なわなければならない。

3 前項の指示を受けた関係請負人又はその労働者は、当該指示に従わなければならない。

つまり元請業者が下請業者に対して指導をする義務があるということです。

このように必要な指導をする義務が課せられ、また是正指示も行わなければなりません。

では逆に元請業者が労働安全衛生法違反となる指示をしたらどんな処罰を受けるのでしょうか。故意に指示をしたのか知らないのかで結果は変わるのでしょうか。

詳しくは記事内でご確認下さい。

違法な指示をした元請業者への罰則

違法な指示をする行為は当然違反です。

しかし、元請業者が違法な指示をしても労働安全衛生法上の罰則は定められていません。

いわゆる罰金や懲役などの罰則はないということです。ただしペナルティはあります

そのペナルティというのが労働基準監督署が発行する是正勧告書です。この是正勧告書は元請業者の違反としてカウントされます。

労働基準監督署の臨検があった場合に発行されるものです

是正勧告を受けたらすぐ罰金等の処分を受けるわけではないですが、それを是正せず繰り返し行えばかなり稀ではありますが検察庁に書類送検される可能性も有りえます。

また都道府県労働局から局指定店社としての指定を受けることもありえるのでご注意ください。

行為を指示した人の罰則

上記は元請業者に対する罰則の話でした。

しかし、違法な指示をした行為者に罰則がないわけではありません

可能性としては刑法上の共犯や教唆犯が該当します。

なお、この場合に雇用主である法人には罰則が及びません。

まとめ

元方業者が違法な指示をしても罰則はありません。ただし当然違法です。

罰則はありませんが是正勧告書というペナルティを受けます。これがたまると安全衛生計画を作成・提出する義務が発生するなど良いことはないので当然止しておきましょう。

また元請業者の従業員が違法な指示をしたことが刑法上の教唆犯などに該当すれば個人が罰せられるので絶対にしないようにしましょう。