雇用保険 対象者

この記事の結論と要約
社会保険の1つである雇用保険についてまとめています。原則、アルバイトでも人を1人雇用すれば雇用保険の加入義務が生じます。しかしどんな場合でも加入義務があるわけではございません。対象者を記事でご確認ください。

建設業法上、加入義務を果たしているか確認される国の保険は次の3つです。

①健康保険

②厚生年金保険

③雇用保険

今回はそのうちの一つ雇用保険についてまとめました。

本題に入るまえに重要なことをお伝えします。

令和2年10月の建設業法改正により上記3つの保険(以下、社会保険)の加入が義務付けられました。

加入義務がある事業所が社会保険に加入していなければ建設業の許可はとれません。更新や業種追加も同様に取得出来ません。

詳しくはこちらの『建設業許可の要件化!社会保険の加入は必須|建設業法改正』でご確認をください。

さて本題に入ります。

雇用保険とは労働保険の一つです。

このうち労働者災害補償保険(労災保険)は原則、個人法人を問わず人を雇えば加入義務が生じます。極端なケースですと、1ヶ月のうち1時間でも働く雇用契約を結べば加入しなくてはいけません。

しかし雇用保険はそうではありません。ある雇用条件を満たす労働者を雇用する場合には加入しないといけない決まりになっています。

この記事を読んで雇用保険に加入させなくてはならない労働者の雇用条件を確認しましょう

そもそも雇用保険とは?

そもそも雇用保険とは何かを確認しましょう。

雇用保険とは労働保険の1つです。労働者が失業した時に受給する失業給付と言われている給付は雇用保険上の給付です。

他にも再就職や雇用を継続させるための給付や労働者のスキルアップに必要な費用を一部補助しております。

つまり労働者が失業したという事故が起きた際の保険で、再就職までの一定期間の生活保障や再就職のためのスキルアップなどを目的として給付のために保険料を徴収しています。

雇用保険に加入すべき対象者

それでは雇用保険に加入する労働者の条件を確認しましょう。

原則、次の3つの全ての条件を満たす労働者を雇用する場合は雇用保険の加入義務が生じます。

◆雇用保険の加入対象になる労働条件


①一週間の所定労働時間が20時間以上

②同一事業主の元で継続して31日以上雇用されることが見込まれ

③他社で雇用保険に加入していない

上記3つの条件を満たす方は

イメージ的には正社員や長時間働くアルバイトの方です。

この方々は雇用保険に加入させる必要があります。

雇用保険の区分

雇用保険に加入した労働者のことを被保険者と言います。

被保険者は4つに区分され、それぞれ対応した雇用保険の給付があります。

以下、被保険者の区分です。

被保険者の区分概要
①一般被保険者雇用保険加入者
②高年齢被保険者65歳以上の雇用保険加入者
③短期雇用特例被保険者季節的に労働に使用される人又は同一事業主に引き続き雇用される期間が1年未満である人
④日雇労働被保険者日雇いで雇用される人や30日以内の期間を定めて雇用される人で適用区域内で働く人

多くの人が①の一般保険者に該当します。

この4つの区分に該当する人を雇用した場合に雇用保険の加入義務が生じます。

区分により支払い方法や適用条件、補償の額が異なります。

建設業に限って言えば①と②しか原則的には関係ありません。

雇用保険の対象にならない人

雇用保険の対象になる人は書きました。

では加入義務がない方も合わせて確認しましょう。

次の条件のいずれかに該当する場合は雇用保険の加入対象になりません

◆雇っても雇用保険の加入対象にならない人


・一週間の所定労働時間が20時間未満の人

・同一事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない人
(前2ヶ月間の各月において18日以上雇用された人は除く)

・船員保険の被保険者

・同居の親族

・学生、生徒

・取締役、役員、監査役や個人事業主

取締役は使用者であるので、労働者のための雇用保険の対象者にはなりません。

しかし取締役であっても、労働者性が強く実態上、雇用関係と同等であると認められる場合には雇用保険に加入出来ます。

アイコン-チェック・雇用保険はとある労働条件を満たす労働者を一人でも雇用すれば加入義務が生じる
・加入義務が生じない人であれば加入しなくてもよい
・個人事業主、法人問わず加入義務がある
・加入対象者は4つに区分分けされ、それぞれに対応した雇用保険の給付がある

雇用保険については以上です。

労災保険に加入しなくてもいいのか?

雇用保険は建設業許可を取得する際に、加入義務を果たしているか確認されます。

では、同じ労働保険である労災には加入しなくても問題ないのでしょうか。

建設業は労働保険の法律で考えた際に、事業形態が独特であると判断されるためルールが異なります。

そのルールというのが二元適用事業所です。

二元適用事業所とは労働保険のうちの雇用保険と労災保険を別々に適用する事業が適用されます。保険料の申告や納付などを別々に行います。

詳しくは別の記事で書きますが、簡単に言うと雇用保険で働く労働者と主な仕事の場所(現場)が異なるので、それぞれ個別に判断して労働保険を成立させようという考え方です。

建設業は事務所と工事現場の住所が異なります。

また当然ですが、危険の度合いも事務所と現場では違いますよね。

労災保険の保険料は現場の危険度により高くなります。だから別々に適用させようということですね。

建設業における労災保険

建設業は事務所と現場で管理している方が異なります。

現場を管理しているのは雇用主ではなく、現場の監督者である元請業者です。

現場労災は元請業者が下請けの分も含めて適用事業に加入します。

よって元請業者が下請業者の労働者の分までとりまとめて加入することが義務付けられています。

つまり下請け業者は現場の労災には加入しなくても問題ありません。

よって事業所単位で労災に加入しているかどうかは、事業所によりけりなので建設業許可を取得する際には論点にならないということです。

まとめ

建設業法は雇用保険に加入義務がある労働者を雇用しているのに、雇用保険に加入していない事業者に建設業許可を与えません。

対象者は申しあげた通りです。

ちなみに専任技術者が取締役等ではなく労働者であれば原則、雇用保険に加入していないと矛盾が生じます。

該当する事業所は必ず加入させかた許可申請されてください。

現場労災は元請業者が下請けの分も含めて適用事業に加入します

これは元請業者の義務です。

下請工事のみ取扱う事業所であれば現場労災の保険料はかかりません。

手続きとしては労災保険を成立させたのちに公共職業安定所に出向き雇用保険を成立させます。

労災保険に加入してから雇用保険に加入する順番です。