電気工事業 登録

この記事の結論と要約
自社で電気工事を施工するためには電気工事の建設業許可を取得するだけでは出来ません。電気工事業者として登録する必要があります。許可とは別の制度です。注意点として専任技術者が電気工事士でなくても電気工事の許可は取れますが、電気工事業者として登録するためには電気工事士が必要ということです。つまり自社で電気工事を施工する場合、電気工事士の有資格者がいなくてはいけません。

建設業許可の一種である電気工事は他の工事と比べると、取扱が異なる点があります。

電気工事の業の許可を取得する=電気工事が出来るという点ではないことです。

工事の金額によらず、許可のみでは自社で施工出来ません。

では許可は何のために取得するのでしょうか。

許可を取得することにより500万円以上の電気工事業の施工管理を請負うことが出来るようになり、請け負った電気工事を下請け業者に指導監督をし施工させ請負工事を完成させることが可能になります。

つまり許可だけでは施工が出来ないということですね。

自社で電気工事を施工するためには許可ではなく登録という手続きが必要になります

この記事を読むことで電気工事を自社で施工するための必要手続きが分かるようになります

電気工事業者として登録が必要

電気工事を自社で施工する場合、電気工事業の登録が必要になります。

建設業法の規定ではなく電気工事業の業務の適正化に関する法律の規定です。

ゆえに管轄する役所が建設業と異なります。東京で言えば都市整備局ではなく東京都環境局が申請書の提出先です。

つまり許可と登録は別途手続きが必要ということになります。

重複しますが電気工事業の許可を取得しても、電気工事業の登録をしない限り自社で電気工事は施工出来ません

電気工事士は2種類ある

電気工事業者として登録を受けるためには電気工事士が自社に在籍していることが必須です。

電気工事士は2つ区分されています。

◆2種類の電気工事士


・第一種電気工事士

・第二種電気工事士

それぞれの違いを確認しましょう。

第一種電気工事士

第一種電気工事士は上記の電気工作物に加えて、自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の工事も施工できる工事士です。

第一種電気工事士のうち、特殊電気工事従事者認定証の交付を受けたものは、ネオン、非常用予備発電装置の工事などの特殊電気工事を施工出来るようになります。

第二種電気工事士

第二種電気工事士は一般用電気工作物(600V以下の低圧の電気を使用する一般家屋、商店、50kW未満の小工場が該当)のみの工事が施工出来る工事士です。

電気工事業者としての登録要件

電気工事業者として登録するための要件は次の2つです。

◆電気工事業者として登録を受けるための要件


①主任電気工事士が在籍していること

②適切な器具を所有していること

 

一つずつ確認しましょう。

①主任電気工事士が在籍していること

主任工事士とは、一般用電気工事による危険及び障害が発生しないように一般用電気工事の作業の管理の職務を誠実に行う責任者です。

主任電気工事士になれるものは次の2つです。

(1)第一種電気工事士

(2)第二種電気工事+免状交付後に3年以上の電気工事の実務経験者

注意点

(1)第一種電気工事士は定期的に講習を受講することが義務付けられています。

これを受講しないと主任電気工事士にはなれません。5年に一回受講する義務はありますが、もし受けていなくても迅速に受講すれば主任電気工事士として認めてくれるケースが多いはずです。

(2)第二種電気工事士は免状交付後に3年以上の実務経験が必要です。

この実務経験というのが結構大変です。というのも電気工事業者として登録を受けている事業者で働いていたことが求められるからです。

もし電気工事業 に3年以上携わっていても、その会社が電気工事業者として登録を受けていなければ実務経験として認められません。また、以前勤めていた会社であった場合に、実印を押して証明が求められます。

第二種電気工事士が主任電気工事士になるためには中々ハードルが高いと言えるでしょう。

②適切な器具を所有していること

登録事業者になるためには、営業所に必要な器具を揃えなくてはいけません。

営業所の種類器具
一般用電気工事のみの業務を行う営業所絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗及び交流電圧を測定することができる回路計備え付ける器具
自家用電気工事の業務を行う営業所絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗及び交流電圧を測定することができる回路計、
低圧検電器、高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置

以上が主な登録要件です。

登録方法

電気工事業の登録は営業所在地の都道府県で行います。東京であれば環境局です。

複数の都道府県に営業所がある場合は、経済産業省が管轄窓口になります。

両者とも登録の有効期限は5年間です。事業を継続したい場合は更新の手続きが必要です。

登録申請に必要な書類

登録には申請書の提出が必要です。

◆電気工事業の登録審査に必要な書類一覧


●電気工事業開始届出書(様式第18)

●主任電気工事士等の電気工事士免状の写し

●主任電気工事士の誓約書

●主任電気工事士の雇用証明書(主任電気工事士が従業員の場合必要)

●主任電気工事士の在職証明書(主任電気工事士が代表者以外の役員の場合必要)

●主任電気工事士等の実務経験証明書(主任電気工事士が第二種電気工事士の場合必要)

●添付書類・確認書類

●建設業の許可通知書(原本 確認)

●建設業の許可申請書(副本)( 原本 確認)

●主任電気工事士等の電気工事士免状 ※ ( 原本 確認)

以上が登録に必要な書類です。

建設業許可との兼ね合い

自社で工事を施工するためには登録が必要と書きました。

建設業許可の専任技術者は電気工事士でなくてもなれるので、自社で施工出来ない事業所でも許可を取得することが出来ます。例えば電気工事施工管理技士がいれば許可は取れますが登録は出来ませんね。

この記事では許可と登録が全く別物みたく書きましたが、実は重なる部分もあります。

それは電気工事業の専任技術者と主任電気工事士と兼務する場合です。つまり専任技術者が第一種電気工事士か3年以上の実務経験を有する場合です。

その場合は、電気工事業者としてはみなし登録事業者になります。実態は登録事業者として大きく変わりません。

専任技術者と主任電気工事士が兼務できる事業者または専任技術者として登録はしていないが要件を満たす電気工事士が在籍している事業所はみなし電気工事業者として登録を受ける必要がある。ということです。

ちなみに電気工事業の許可を取得するご意向があれば『電気工事業の建設業許可を取るための専任技術者要件』でご確認ください。

アイコン-チェック・建設業許可を取得するだけでは電気工事の施工は出来ない
・自社で施工するためには、電気工事士業者として登録をうける必要がある
・電気工事業の登録要件は営業所に電気工事士がいること
・登録先は各都道府県の管轄。営業所が複数都道府県にあるならば経済産業省

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

電気工事の建設業許可を取得するだけでは電気工事の施工は出来ません。電気工事業者として登録を受ける必要があります。

許可と登録をすることで500万円以上の電気工事を自社で請負、施工することが可能になります。

登録をするためには主任電気工事士の在籍が必要です。

もし許可業者の専任技術者と主任電気工事士が兼務できる事業所であれば、電気工事業の登録区分はみなし電気工事業者になります。

自社で施工する場合には電気工事士が必要である点につきご理解いただければ幸いです。